「半育休」という言葉を聞いたことがある人は、どれくらいいるでしょうか?
半育休とは、「育休を取得することで育児に励みながら、隙間時間で働くこと」です。つまり、半育休を取得することで、“育休と仕事のバランス”を自分らしくデザインすることができます!
本記事では、最新の育休スタイルである「半育休」をオススメする「3つの理由と留意点」についてデータに基づき簡潔に説明していきます。
加えて、説明だけだと分かりにくい部分もあるため、実際に「半育休」を取得したKIさんの体験記をご紹介します。
半育休がオススメな3つの理由
半育休がオススメな3つの理由について一つ一つ解説していきます。
【理由①】2020年10月から、半育休制度が実質的に解禁!?
詳細な統計データこそありませんが、半育休の取得率は非常に低く、数千人のパパに1人程度と推察されます(以下のコラム参照)。
こうした、半育休取得者が少ない最大の要因が、従来の育児休業制度において育児休業中は「原則就労不能」と規定されていたためです。
しかし、2021年6月における育児・介護休業法の改正に伴い、育児休業中であっても「就労可能」になりました。
例えば、育児休業中であっても、育児の合間を縫って「毎週月曜日と水曜日の朝9時から12時まで勤務する」と労働者が合意すれば就労が可能となりました。
【コラム】ざっくり推計、半育休取得率
男性育休取得率は直近の平成30年度において7.48%ですが、そのうち1ヶ月超の育休取得者は2割程度の1.5%、さらに、半育休取得者はパパ育コミュに在籍する長期育休を取得した30人のうち1人だけとなっています。つまり、ざっくりと推計すると、半育休取得者は実質的に0.05%程度(1.5%÷30)、言い換えれば、2,000人に1人程度だと推察されます。
【理由②】コロナ禍で変わった働き方のスタイル〜テレワークの普及〜
新型コロナウイルス感染拡大を防止する観点から、テレワークの導入が進んでいます。
テレワークとは、インターネットなどのICTを活用し自宅などで仕事を する、時間や場所を有効に活用できる柔軟な働き方です。
実際、パーソル総合研究所が実施したアンケート調査においても。緊急事態宣言後、正社員のテレワーク実施率は13.2%から27.0%に上昇し、1ヶ月間で2倍になりました。
こうしたテレワークの普及が、育児休業を取得しながら在宅で労働を可能とするインフラ整備につながっています。
【理由③】半育休の5つのメリット
理由の3つ目は、半育休の5つのメリットです。それぞれのメリットを以下で簡潔に説明していきます。
【メリット①】収入が減らない!?給付率67%でも実質93%!?
半育休の最大のメリットの一つは「お金」です!
育児休業給付金の支給率は賃金月額の67%(育児休業開始後6ヶ月、以降は50%)で、社会保険料等が免除となるため実質的に手取りベースでは80%と言われています。
国際的に比較すると、育児休業給付金の給付水準(80%)や給付期間は日本が世界で最も優れた制度だと言われていますが、実際のところ、子供を抱える家庭にとっては、手取りベース80%、つまり、20%減額というのは大きな痛手です。
将来の持家購入(購入済みの場合は住宅ローン)、中には、学生ローン等の返済をしながら、なんとか生活費をやりくりしている中で、毎月収入が数万円単位で減少し、育児休業中に貯金残高が目減りしていくのは大きなストレスになっていきます。
こうした育休中のお金に問題を解決する一つの手段として、半育休があります。
半育休では、育児休業中であっても、隙間時間を見つけて就労することで、賃金月額の80%まで収入を得ることができます!
半育休を利用することで、賃金月額の80%まで給与をもらうことができるため(80%と67%の差分の13%分が就労対価)、社会保険料等の免除と合わせて、実質的に手取りベースで93%の収入が確保できることになります。
※男性育休にまつわるお金の問題について、育児休業給付金や社会保険料免除等について、興味がある方は以下の記事で詳細に解説していますので、ご一読ください。
【メリット②】職場への迷惑をかけずに半育休を取得できる!?
男性育休アンケートから得られた、「育休希望者が育休取得を断念した」最も大きな理由の一つは「職場が育休を取得しづらい雰囲気だったため」となっています。
こうした「雰囲気」を感じる要因として、職場に迷惑をかけるという意識が強く働いています。
しかし、半育休であれば育児休業中も隙間時間を見つけて就労することが可能となり、職場にかける迷惑も低減することから、男性が育休を取得する上での障壁を低くすることに役立ちます。
※育休を取得しづらい職場の雰囲気については、以下の記事で詳細に解説していますので、ご興味がある方はご一読ください。
【メリット③】業務引き継ぎの苦労が低減!業務を継続しながら育休取得!
男性育休アンケートから得られた、「育休希望者が育休取得を断念した理由」として、「職場の人員が不足していたため」と「自分にしかできない業務があったため」といった、「業務引き継ぎ」に関する項目が多く挙げられています。
こうした業務引き継ぎについて、従来の育児休業では、完全に職場から離れ育児に専念するため、細かい引き継ぎ事項も含めて全てを入念に引き継ぐ必要がありましたが、半育休では、隙間時間に働くことができるため、業務継続を前提とした引継ぎが可能となり、業務引継ぎの苦労が低減することになります。
従来の育休では、原則育児休業中の就労は認められておらず、1から10まで細かい内容も含めて引継ぎしないといけないので、とっても大変ですよね。取引先との交渉経緯なんて、細かすぎて本当に引き継ぐのが大変。
けど、半育休なら、1から8くらいまで引き継いで、残りの2割の細かい内容は隙間時間に職場をサポートしながら補えるので効率的!
※育児休業いおける業務引き継ぎについては、以下の記事詳細に記載してありますので、ご興味がある方はご一読ください。
【メリット④】キャリアロスを回避!
男性育休アンケートから得られた、「育休希望者が育休取得を断念した理由」として、「昇進や昇給が遅れるため」と「仕事の能力が落ちると感じたため」といった、「キャリアロス」に関する項目が多く挙げられています。
しかし、半育休を活用すれば、育児休業中であっても就労が可能であるため、昇進や昇給の遅れを最小限に抑えると共に、隙間時間に継続的に就労することで仕事の能力が落ちる心配も少なくなります。
【メリット⑤】産後うつの防止!社会との繋がりを意識した育休!
男性育休を取得した人の体験記をまとめる過程で、多くのパパが育児に伴うストレスから「うつうつとした気持ち」を経験していることが分かってきました。
こうした、育児中のうつうつとして気持ちの原因として、育児の大変さもさることながら、「社会からの孤立」も大きな要因となっていることが分かってきました(パパ育コミュ「産後うつに関するアンケート調査」)。
半育休を取得することで、社会との関係を維持しながら育児に携わることができるため、産後うつの抑制にも効果があります。
※「パパの産後うつ」については、以下の記事詳細に記載してありますので、ご興味がある方はご一読ください。
【まとめ】半育休をオススメする3つの理由
ここまで、半育休をオススメする3つの理由を解説してきました。
「育児・介護休業法の改正」や「コロナ禍による半育休を可能とするテレワークの普及」、「半育休の5つのメリット」という“半育休がオススメな3つの理由”からも分かるように、半育休という新しいスタイルの男性育休はとっても魅力的です。
今でこそ取得率は数千人のパパに1人ですが、今後は大きな注目を浴びることでしょう。
半育休を取得することで、家庭環境や職場環境に応じて、“育休(育児)と仕事のバランス”を自分らしくデザインすることができるようになります!
絶対に気をつけるべき、半育休の3つの留意点
半育休という新しいスタイルの育休が普及する理由を解説してきましたが、一方で利用方法を間違えると半育休は悲劇を生むこともあります。
そんな半育休の悲劇を生まないために注意すべき点を3点ご紹介します。これから半育休を取得する方は特にご注意ください。
【留意点①】本末転倒!育休とっても、仕事漬けの毎日!?
半育休が可能となった背景に、前述の通り「育児・介護休業法」の改正により、育児休業中の収録が「原則禁止」から「就労可能」に制度変更されたことがあります。
しかし、育児休業中の就労に関する法改正の背景には中小企業を中心とした労働者、特に、中核人材の不足があります。
大企業のそうに豊富な人材を抱えることが難しい中小企業においては、どうしても業務が俗人的になり、育児休業を取得する30代前後のパパ達は職場で重要な役割を担っており、替えが効かないことが多くあります。
こうした中核人材が育児休業を取得した場合であっても職場への負担を低減することが、「就労可能」という改正の背景の一つとなっています。
そのため、企業からすれば、「育休を取ってもいいけど、ちゃんと職場に迷惑をかけないように働いてくれるよね?」という想いがチラホラと見え隠れしています。
「就労可能」という言葉を雇用主と従業員の間でどのように落とし所を見つけるかが、まさに「就労可能の前提」となる「労使協定に基づく、労働者の合意」に他なりません。
【留意点②】働きすぎると、育児休業給付金が減額される!?
半育休に伴う就労対価は、賃金月額の80%が上限となっています。つまり、育児休業給付金の給付率が67%であり、80%との差分である13%分が就労対価として給与をもらえる部分となります。
もちろん、13%を超えて就労することは可能ですが、その場合は育児休業給付金が減額される仕組みとなっているため、育児休業給付金と就労対価の割合は変わりますが、賃金月額の80%しかお金を貰えないことには変わりありません。
育児休業中は沢山働いても、結局もらえるお金は賃金月額の80%なの。あくまでも、育児休業中は育児がメインで、隙間時間に働くくらいの感覚でいた方がいいってことね。
【留意点③】ルールを破ると、給付金がもらえない!?
育児休業中は、育児に従事することが前提として、育児休業給付金が支給されているため、「半育休」という形での隙間時間での就労には制限が設けられています。
具体的には、「月10日間又は80時間以内」です。
この制限を超えた就労は半育休といえど、認められません。
そのため、この制限を超えた範囲で就労をしてしまった場合は育児休業中とは看做されず、育児休業給付金の給付がストップしてしまう可能性もありますので、ご注意ください。
【結論】半育休をオススメする3つの理由と留意点
新しい育休のスタイルとしての「半育休」を紹介しました。
今後育休取得を検討する方は、半育休を検討してみてはいかがでしょうか!
半育休を実際に取得したKIさんにインタビューしました!
※パパ育Tubeでは男性の育児や育休に関するインタビューや最新動向を随時更新しています!
以上、「最新の育休スタイル、「半育休」!オススメする3つの理由と留意点!」でした。
最後までお読み頂きありがとうございました。
記事が気に入ったらブックマークしてみてね!
コメント