【男性の育休体験記】「育休制度を自ら整備し“3度の半育休”を取得、KIさん(14ヶ月間、6ヶ月間、5ヶ月間取得)」

男性の育休「AtoZ」

男性育休は人それぞれです。家庭環境や職場環境等に応じて育休のあり方は異なってきます。

そんな多様な男性育休について、男性育休取得者の体験記を通じてお伝えしてしていきます。

今回は自ら育休制度を整備し、3度の半育休(育休を取りながら給付金を貰える範囲内で働く事)を取得した「KIさん」の体験記です。

イラスト提供:ゆーぱぱ

プロフィール

・名前:KI 
・具体的な育休取得期間
長男:2009年12月1日~2011年1月31日(2009年度は有給や会社制度を利用)
二男:2013年12月1日~2014年5月31日
長女:2016年8月1日~2017年1月31日

※ 全て半育休(育休を取りながら給付金を貰える範囲内で働く事)です。
・居住地:東京都
・職業
長男取得時:会社員(101人以上300人以下)
二男と長女取得時:会社員(1001人以上)
・育休取得時の家族構成
長男:(父26歳、母26歳、長男0ヵ月)
二男:(父30歳、母30歳、長男4歳、二男0ヵ月)
長女:(父32歳、母33歳、長男6歳、二男2歳、長女0ヵ月)
Twitter

育休を取得した理由

普段から仕事とプライベートどちらかが犠牲にならないように気を張っていたのでなんとなく「取るのだろうな」と考えてはいましたが、長男の時は母親側の職場で産後休暇後新年度からの復帰を求められたため、父親側でどうにかして取らないといけない状況でした

二男と長女の時には母親の職場でも育児休業を認められるようになりましたが(母親が職場初取得)、長男の時の物理的精神的負荷の経験から夫婦で取れるのなら取った方が良いだろうと判断したので取得しました。

育休取得プロセス

家族とのやり取り

妻との間では、前述の状況もあり、私が育休を取得することになりました。

子育てについては、お互いの両親の協力も大切です。夫婦ともに子供が生まれても仕事を続けたいというモチベーションがあったので、互いの両親の協力が必須である事は想像できた&互いの地元が一緒だったので長男が生まれる前からどのように互いの両親にサポートしてもらうかを皆で話し合い、長男が生まれたタイミングで地元に戻ることにしました

会社とのやり取り

長男の時に勤めていた会社はそもそも男性の育休制度自体が無かったので、制度作りから始めました

幸い、当時の会社との関係は良好で建設的な議論が可能であったため、私の「キャリアを維持したい」という意思を汲んで頂き、育休で完全に離脱するよりも必要最低限の仕事は続けた方が良いだろうという結論に達し、それを実践するためのルールと環境作りを協力することができました。

今ではだいぶ浸透したと思いますが、当時としては珍しいリモートワークや各種SaaSの利用などを取り入れたので、かなり画期的だったと思います。

当時の会社の総務・人事担当の方々がとてもポジティブかつチャレンジングな方たちであり、中小企業特有の経営層との近さもあって自由闊達にアイデアが飛び交う雰囲気であったことが大きかったです。

普段から指示待ちの姿勢を見せない様にしたりギバー(Giver、与える人)である事を心がけて実践していたり、とにかく自律思考と協調性を意識して職場と良好な関係を維持しておくと、いざという時の根回しがスムーズにいくと思います。

二男の時には転職していたのですが、前職で育休をとりながら業務への影響を最低限にする実績を作れていたので、それを少しアレンジする事で納得してもらいました。

長女の時は二男の実績もあり特に問題なく取得できました。

育休中の生活

家事や育児について

長男の時は妻が職場復帰していたので授乳以外は基本的にほぼ全て私が担当していました(といっても、長男の時は母乳の出が悪く三ヵ月を迎える頃にはミルクになっていましたが)。

育児については初めてなので苦労しましたが、家事については結婚当初から分担していたので特に苦労は無かったと思います。(逆に言えば、家事については子供が生まれる前に全て自分で出来るようになっていた方が良いです。完璧を求めなくても自分の面倒を自分でみることができる程度で良いです

二男と長女の時は妻の職場でも育休が取得できるようになり、妻は約1年間の育休をそれぞれで取得したので、必要な家事育児を適切に分担できました。

一つ言えることは、時短のための道具やサービスには一定のコストを払った方が良いです。体力や精神や実務、あらゆる側面から時間の確保が最優先事項になると思います。

家事や育児以外

長男の時はキャリアを諦めたくなかった事もありかなりストイックな日々だったと思います。

私の職業はソフトウェア開発兼システムエンジニアなのですが、情報系の大学を卒業したわけでもないので必要なスキルを得るための自己学習も続けていました(今は別名になりましたが「ソフトウェア開発技術者」という資格も育休時に取得しています)。

当時の平均“総”睡眠時間は三時間位ですかね(夜のミルクや夜泣き対応などがあったので連続した睡眠はとれませんでしたね…)。この頃はほぼ娯楽の時間もなかった気がします。

なお、互いの両親からのアクセスが良くその他の条件も良い物件を見つけていたので、長男誕生とほぼ同時に自宅を購入し、必要に応じてサポートが受けられるように調整しました。

対照的に二男と長女の時は長男の時のストックと夫婦ともに育休を取得できたこともあり、家事育児を分担しながら互いの趣味や旅行などの娯楽時間も少しは確保できていました。

とはいえ、発達段階ごとの大変さがあるので子供が増える毎に大変になる感覚はとても強かったのですが。

育休中の大変なエビソード

長男と二男は月に一度は体調を崩していたので、突発的な通院の頻度が多かったことが大変でした。

小さいと風邪の時に横になっているだけでも辛いようで、抱っこしながらソファに座って眠る事が連日続くのは大変でしたね。(吐き気がある時は洗面器をぶら下げながら寝たりしていました…)

また、今はもう少し改善されていると思いますが長男の時はそもそも男性の育休自体が世の中であまり認知されておらず、各種育児系のイベントが母親限定になっていたり保育園の連絡事項も“お母様にお伝えしたいのですが”と父親抜きの業務フローであったり保育士さん自身も父親とのやり取りに戸惑っていたりと、”異物感”が強かったのはそれなりにキツかった気がします。

育休からの復職

復職前の会社とのやり取り

3人とも半育休で普段からコミュニケーションをとっていたため、特別なやり取りは無かったと思います。各種手続き位ですかね。

復職後の仕事(キャッチアップの苦労、ワークライフバランス、パタハラ等)

こちらについても完全に仕事から離脱していたわけではないので、業務上のキャッチアップは問題ありませんでした。

仕事にあてる時間が増えたなりに仕事量は増えましたが、試行錯誤で対応できる範囲内ではありました。

長男の育児休業が終わってからは転職後の約1年間を除いてずっと時短勤務を取得しています。

とはいえ、夕方~子供が寝付くまでの時間帯(ここを“家事育児のコアタイム”と勝手に定義しています)を対応できるように帰らせてもらっているだけで、基本的に仕事は持ち帰りです。

この辺りは制度的にはかなりグレーなのですが、通常残業としてカウントしてもらうなど”信頼関係”で目をつぶってもらっています。(飛び石勤務みたいのが法制度化されると良いのですがね。労働者を守る権利とはいえガチガチなのも考えものです)

復職後の家事や育児(復職前に思っていた通りに取り組めているか)

育児自体がそもそもイレギュラーの連続なので想定通りに進んだ試しがありません、おおむねリカバリできる範囲内だと思います。

コツは常に“予定通りにいくわけがない”と意識しておくことですかね。とにかくトライアンドエラー(試行錯誤)から上手く着地させる、の繰り返しだと思います。

なお、育児については互いの両親にサポートして貰っていることもあり外部サービスに頼ったことは無いのですが、家事については積極的に使うのが良いと思います

曲がりなりにもある程度専念できた育休時代とは異なる課題が出てくると思うので、状況毎に判断するのが良いと思います。

夫婦間の配分については各々の得意分野をこなすことで効率を優先した結果、妻が料理と裁縫、それ以外を私といった配分が基本です。

とはいえ、互いに出来ない家事は無いので極端に一方に負担が偏らない様に心がけています。(なお、料理はかなり負担のかかる家事の一つなので、これを担当している方のその他の家事を減らした方が上手く回ると思います

育休を振り返ってみて

正直、それなりに過去の事であるし日々をやり抜くことに必死だったので言語化できる思いがほとんど残っていません。

ただ、育休取得の障害としてよく挙げられる「雰囲気」や「慣習」といったものを気にせずに、共に考え寄り添ってくれる職場の人に恵まれてきた事はとても幸せなことであったと思いますし、とても感謝しています。

思考停止せずに必要な選択のためのトライアンドエラーができた事は、過ぎてしまった今となっては大切な経験だったなぁと思います。(当時は絶対にそんな考えは浮かばなかったと思いますが(笑))

次に子供が産まれたら育休を取得したいか

まぁ、取得すると思います。必要なので。さすがに四人目は考えてしまいますが…。

これから育休を取得する人へのメッセージ

「雰囲気」や「慣習」に負けないでください。必要だと思ったらなんとかその選択ができないか頑張ってみてください。あなたの人生です、あなたが選ぶ事をどうか諦めないでください。

綺麗事を並べても仕方が無いのでここまで実務ベースで淡々と書いてきましたが、大変な時間の中にはたくさんの感動の瞬間があります。

子供が初めて言葉を発する瞬間はこれまでみせた事のない笑顔になるでしょうし、心地よさそうにすやすやと寝ている顔を見ると直前まで夜中に寝ぼけながらミルクを作って飲ませていた時間がとても誇らしいものになります。

育休を取得して子供のそばで過ごす時間の中でしか感じる事の出来ない大切な思いが確かにあり、それまでの苦労を上書きするものだと思います。

それは、確かに頑張るに値するものであると信じています。

……と、なにやら感傷的な感じで締めてしまいましたが、実践的な情報が必要な方はご連絡頂ければと思います。

調乳に電気ケトルと底の深いビーカーは時短になるっぽいよとか、煮沸消毒が面倒であればミルポンで十分っぽいよとか、ベビーバスのサイズを台所シンクに合わせるとなにかと便利だよとか。

約10年間で溜めてきたノウハウについては惜しみなく共有する所存です。

いつでも応援しています、頑張ってください。

その他(言い残したことがあれば)

長男の出生に合わせて育休を取得した頃に比べSNSが身近になり個人の発信力が抜群に高まりました

自分はその辺に必要な言語化能力やら発信様式やらが絶望的に足りていないので、ブログやTwitterなどで自身の経験を発信されている方々は本当にすごいと思っています。

ただ、情報へのアクセスが容易になりアクセス出来る情報自体があふれた世の中においてはある種のセレクションバイアスというか、“その情報を得ようと考えている人にしか情報が届かない”という現象が起こりやすくなり、結果としてエコーチェンバー(閉鎖的な盛り上がり)が起こりやすい状況になっているのかなぁという感じもします。

国に任せていても育休を取得しにくい状況は変わらないかもしれません。

なので、個々の現場はボク等のように育休を経験した人間がある程度の権力を持って少しずつ変えてしまう方が早いと思っておりまして。

ボクは約10年もかけてようやく組織内のルールに口を挟める立場になれそうなのですが、こういった事をあらゆる業界・業種で進めていけると良いのではないかなぁと思っています。

それぞれが自分の所属している組織内でエラくなって、それぞれの業界・業種の課題に最適解を見出して”育休あたり前”の空気を広げていけると最高だなぁ、と思います。

整理すると、“家事育児と同じくらいに仕事も頑張ってそれぞれの目の届く範囲を実際に変えていきましょう”という提案なのですが、どうですかね?

イノベーター的でなかなかキツイ挑戦ではあるのですが、これを目にしたあなたが一緒に頑張ってくれたりすると、とても嬉しいです。

以上、「【男性の育休体験記】「育休制度を自ら整備し“3度の半育休”を取得、KIさん(14ヶ月間、6ヶ月間、5ヶ月間取得)」」

コメント

タイトルとURLをコピーしました