新生児から幼児にかけての育児で最も繊細な作業の一つが「寝かしつけ」です。
赤ちゃんを抱っこで何とか寝かしつけて、体が脱力して寝息を立てるようになってから布団の上に「そ〜」っと置いたのに、背中スイッチが発動してしまい、再度寝かしつけをする羽目になった辛い経験は誰しもあるのではないでしょうか。
私も例に漏れず、やっと寝てくれたと思って子供を布団に置くと「ふぎゃ〜」と背中スイッチが発動して何度も絶望的な気持ちになりました。
本記事では背中スイッチの発動確率を下げるための、寝かしつけの「5つのコツ」を紹介します。
コツ①「背中スイッチではなく、お腹スイッチ!?」

寝かしつけをする際に抱っこの状態から布団に置くわけですが、その際に赤ちゃんが違和感を感じて体を緊張させると起きてしまいます。そのため、なるべき赤ちゃんには安心感を感じてもらうことが大切です。
安心感を与えるためには赤ちゃんと体を密着させる面積を大きくすることが大切です。
抱っこで寝かしつけられている時は、赤ちゃんのお腹は抱っこをしている人のお腹と密着しており、背中は親の手(抱っこ紐で寝かしつけている時は抱っこ紐の布)で包まれているで、赤ちゃんは安らかにスヤスヤと眠っています。
その姿勢から寝かしつけようとする時に、なるべく赤ちゃんと背中とお腹を密着させた状態をキープしながら布団に置きましょう。具体的には、お腹を赤ちゃん密着させた状態で前屈みになりながら布団におろしましょう。そうすると、赤ちゃんは体を緊張させることなく布団の上に置かれることになります。
もし、赤ちゃんを下ろす際にお腹が離れてしまうと、赤ちゃんが違和感を感じて体を緊張させてしまいます。その瞬間に「ふぎゃ〜」と泣き出してしまうことも。
このように、抱っこの状態から赤ちゃんを下ろす際には、体、特にお腹を密着させることを意識しましょう。そうすると、赤ちゃんは安心して布団の上で寝てくれます。もし、お腹を密着させた状態で敷布団に置くのが腰や手への過度な負担になる場合は、ベビーベットを使って中腰で作業をするとお腹を密着させた状態でも布団に置くのが幾分か楽になります。
背中スイッチだと思っていたものは、実はお腹スイッチだったのかもしれません。
子育ての必須ツールとして抱っこ紐がありますが、最近はほとんどのパパママがエルゴを選んでいます。街を歩いていても赤ちゃんを抱っこしている人の多くが特徴的なカタツムリ?のようなマークをしたエルゴを使っています。
エルゴの魅力は何といっても頑丈さと機能性を兼ね備えていることです。機能性という意味では、「新生児でも使える便利さ」や、「夏でも使える通気性」、「料理する時などはおんぶができること」、「汚れても洗えること」等が挙げられます。また、寝かしつけの意味では、赤ちゃんと大人の体がぴったりと密着するので、赤ちゃんは安心して眠ることができますし、密着しているので腰の負担も軽減されます。
もし、抱っこ紐に迷っていたら、エルゴベビーはおすすめです。
コツ②「赤ちゃんの“MWCの姿勢“と“布団の温度“」

赤ちゃんは非常に繊細な生き物なので、布団に置かれた瞬間に違和感を感じると「ふぎゃ〜」と泣き出してしまいます。
違和感としては、例えば、赤ちゃんの姿勢や布団の温度等が考えられます。
まず、赤ちゃんの姿勢ですが、赤ちゃんが安心して眠る態勢は決まっています。手はW字に広げ、足はM字に開脚し、背中はC字に湾曲した状態です。まさに抱っこの状態で寝ている姿勢です。この姿勢が布団に置く際に崩れてしまうと、赤ちゃんは違和感を感じて起きてしまいます。そのため、布団やクッション(円形のクッションが理想的)を使って、赤ちゃんが手足背がWMCの形状を保てるように工夫してみましょう。
また、赤ちゃんは布団の温度にも敏感に反応します。特に、冬は布団が冷たくなっているため、急に冷たい布団の上に置かれると赤ちゃんは違和感を感じて泣き出してしまいます。湯たんぽや親の体温で温めてあげるなど、布団の温度に違和感を感じなように工夫をしましょう。
最近は寝かしつけに使う便利なクッションも販売してされているそうですので、あまりに寝かしつけに苦労するのであれば購入してもいいかもしれません。
背中スイッチの発動も大変なのですが、そもそも抱っこでもなかなか寝ないことがあります。抱っこの状態で30分も赤ちゃんを寝かせようとしているとと、肉体的にも精神的にもかなり負担があります。そんな状態に陥らないように抱っこに「一工夫」してみてはどうでしょうか。
例えば、赤ちゃんはで外で散歩したり乗り物に乗ると振動が心地よく感じ流ようで寝入りがスムーズですし、意外と掃除機や換気扇の雑音も寝かしつけに効果的だったりします。そのため、我が家では部屋を暗くして掃除機をかけながら寝かしつけをよくしていました。適度な揺れと騒音が心地いいようです。
赤ちゃんによって、何がいいのかを試行錯誤する必要はありますが、抱っこに一工夫すると効果的に寝かせることができるかもしれません。
コツ③「失敗は成功の母〜失敗してもママに任せない〜」

赤ちゃんは周囲の変化を敏感に感じます。特に、寝かしつけの際に親が「背中スイッチ」の発動を恐れるがあまりに緊張していると、赤ちゃんには手に取るようにわかります。あまりに動作がぎこちないとすやすやと眠っている赤ちゃんが違和感を感じて起きてしまうことがあります。
この緊張感を無くすには経験を積むしか無いと思います。乱暴に扱うと壊れてしまいそうな新生児をどのくらいの丁寧さで扱えばいいのか線引きをすることが大切です。
この点で非常に上手なのが看護師です。新生児室で看護師が目にも止まらぬ速さでオムツを換えたり、赤ちゃんを移動させたりする様を見ると、本当に職人技だと感じます。赤ちゃんをどのように扱えばいいのか熟知しているのです。
看護師ほど経験値を積むのは難しいですが、普段から赤ちゃんの世話をしているうちに赤ちゃんの扱いには徐々に慣れていくと思います。そのため、経験を積むためにも何度も背中スイッチを発動させ、失敗を重ねながら寝かしつけの技術を高めていくのだという覚悟が必要かもしれません。
すぐに諦めて寝かしつけはパパにはできないと、ママに押し付けないようにしましょう。
コツ④「モロー反射のブロック装置」

赤ちゃんが違和感を感じて緊張すると、手足を「パッ」と動かします。これはモロー反射という現象で、人間の先祖が猿に近かった時に、木やママのお腹から落ちそうになった時に咄嗟に手で掴む反射運動です。このモロー反射が発動すると、赤ちゃんが起きてしまいます。
子供にもよるのですが、モロー反射が激しい子供だと寝かしつけに非常に苦労することになります。そのような場合は、手足をおくるみで包んだり、専用のおくるみを購入することをお勧めします。そうすれば、モロー反射が発動しても手足がビクッと動くことがなくなりますので、赤ちゃんが起きなくなります。
赤ちゃんをぐるぐる巻きにすることについて抵抗がある方もいるかもしれませんが、赤ちゃんは包まれていることに対して安心感を感じます。こうした特性はモンゴルの育児ではうま具利用されており、モンゴルのゲルの中で布でぐるぐる巻きにされた赤ちゃんが壁にかけられていたりします。国が変われば育児の考え方は大きく異なるようです。
コツ⑤「ルーティーンを決める(ネントレ)」

寝る前のルーティーンを作ると赤ちゃんはスムーズに眠りにつくことができます。
新生児ではまだ体内リズムが定まっていないため難しいかもしれませんが、月齢1ヶ月頃から徐々に始めるといいかもしれません。
ルーティンとしては、例えば以下のような流れです。
- 寝かしつけの時間を決めて、30分前には寝室に移動する。
- 明かりを少し暗くして、歌を歌ったり、本を読んで赤ちゃんをリラックスさせる。
- 電気を暗くしてオムツを替えて授乳する。
- 布団に置いて、子守唄を歌ってあげる
ここで注意した方が良い点として、できれば授乳させたまま寝落ちさせないことです。赤ちゃんは起きた瞬間に寝た瞬間の状態と異なる状態になっていると違和感を感じて泣いてしまうことがあります。そのため、授乳の状態で寝落ちると、夜中に何かのきっかけに目を覚ました際におっぱいがなくなっていることに違和感を感じて泣いてしまいます。できれば、授乳したまま寝落ちさせるのではなく、授乳を終えてから布団に置いて寝落ちるように工夫しましょう。その方が、はじめは苦労しても、後々夜にぐっすり眠ってくれるようになります。
寝かしつけは実は寝かしつけの前から始まっています。日中にパパやママをはじめとする周囲の人たちががしっかりと赤ちゃんを十分にかまってあげると、赤ちゃんの気持ちが充実していて魔法のようにスヤっと眠ってくれるものです。実は、寝かしつけはその日の育児の成績表なのかもしれませんね。
最後に〜寝かしつけで精神と肉体を酷使しないように〜
本稿では寝かしつけのコツを説明しました。
- コツ①「背中スイッチではなく、お腹スイッチ!?」
- コツ②「赤ちゃんのMWCの姿勢」
- コツ③「失敗は成功の母」
- コツ④「モロー反射のブロック装置」
- コツ⑤「ルーティーンを決める(ネントレ)」
新生児の寝かしつけに親は非常に苦労すると思います。
抱っこで何とか寝かしつけて、体が脱力して寝息を立てるようになってから布団の上に「そ〜」っと置いたのに、背中スイッチが発動した際には精神的なショックを受けます。しかも、赤ちゃんは一瞬とは言え眠っていたため体力は少し回復しており、寝かしつけの難易度が上がってしまいます。その結果、2回目も3回目も失敗して、数時間にわたって赤ちゃんを抱っこし続けることになり、腕と肩がパンパンになり、家事は一切進まないという悲劇が起こることもあります。
そんな体験は育児あるあるとして一度は経験した方が良いのかもしれませんが、何度も続くと精神と肉体がすり減ってしまいます。そうすると、余裕がなくなり、ついついイライラしてしまい、それが赤ちゃんにも伝わってしまいます。こうなっては育児の負のスパイラルに陥ってしまいます。
今回紹介した5つのコツを実践して、少しでも赤ちゃんの背中スイッチの発動確率を下げてみてください。
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