【男性育休体験記】「産後うつに苦しむ妻と愛する子供を守るために、とみたんさん」(16ヶ月間取得)

男性の育休体験記

男性育休は人それぞれです。家庭環境や職場環境等に応じて育休のあり方は異なってきます。

そんな多様な男性育休について、男性育休取得者の体験記を通じてお伝えしてしていきます。

今回は「とみたんさん」の体験記です。

プロフィール

・名前:とみたん
・具体的な育休取得期間:2017年10月~2019年3月
・居住地:東海地方
・職業:看護師(101人以上300人以下)
・育休取得時の家族構成:パパ31歳 ママ28歳 息子0歳
・とみたんさんのTwitterNote

育休を取得した理由

産前は育休取得については考えていませんでした。しかし、産後14日目に妻が産後うつを発症し、育児はおろか日常生活の維持すら困難な状態に陥りました。近所に妻の両親が暮らしていましたが、妻とは長年関係不良の状態でした。私以外に育児をできる人がいなくなったことに加え、自宅療養する妻のメンタルサポート(私は精神科の看護師をやっています)の点においても、育休を取る必要がありました。

育休取得したプロセス

妻は産後うつによる意欲や判断力の低下、希死念慮がみられコミュニケーションも難しい状況でした。そのため、妻と私の間で育休取得について話し合う機会はありませんでした。妻の両親は私が育休をとる事に反対し「自分たちが育児をする」と主張しました。しかし、妻との関係不良から育児は任せられないと判断し、お断りしました。

産後うつを発症した当日は急遽有給を取得しました。そして、その日の夜、上司に電話にて事情を説明し、仕事を休む必要があること、また、育児休業が認められなければ退職する意思がある旨を伝えました。

余談ですが、当時の私は劇的な状況の変化に混乱し、仕事を継続するために児童相談所の一時保護という選択肢も脳裏によぎりました。しかし、上司から「家族を守れない看護師は患者さんを守ることはできない」と諭され、休暇を取得する決断ができました。私の職場では男性職員が過去に育児休業を取得した実績が無かったため、一端は処遇保留で自宅待機となりました。

その後、正式に育児休業が認められる形となりました。期間については、妻の病状に左右されるため、一先ずは1年間で申請しました。(最終的には1年半の取得となりました)なお、妻には自身の療養に専念してもらうため、育休取得に向けた進捗についてはその都度状況を説明をするにとどめていました。

育休中の生活

家事や育児について

妊娠前から家事は協働で行っていました。また、育児においても妊娠前から協働をイメージしており、妻しかできない育児は母乳のみという状態でした。さらに、育休取得前から母乳→ミルクへの移行を進めていたため、育休を取得してからは全ての家事・育児を私が主体となって行いました。妻の病状は一進一退で育児や家事を継続して行うことは難しく、その時の状態に応じて一部妻に任せる、あるいは私の疲労感が強い時には近所に住む義母に育児を依頼していました。

家事や育児以外

ほぼワンオペ育児状態かつ妻の療養サポート(代理で病院受診をしていた時期もあります)もあり、自分の時間は殆どありませんでした。育休中のストレス発散はスマホゲームぐらいでした。今思い返せば、もっと時間を有効に使って自己研鑽に費やせたと感じています。妻の体調の良い時は、旅行へ行くこともありました。仕事をしていた頃は1か月前に休暇希望を出す必要がありましたが、その時の妻の病状まで予測することはできません。妻の体調に合わせて臨機応変に旅行を楽しめたことは、育休中ならではだと思います。

育休中に大変だったエピソード

育休中は家族以外と関わる時間は極端に少なく、引きこもり状態でした。妻の病状も安定せず、妻と義母との関係を取り持つことにも疲弊し、生後10カ月を経過した頃には心身ともにボロボロとなっていました。ある朝、私は突然無力感に襲われ、息子を義母に預け東京の実家に帰ってしまいました。いわゆる家出です。

幸い、両親の支えもあり2泊3日の休養で心身ともにリフレッシュでき、再び家族のもとに帰ることができました。息子と再会した際、息子が泣きながら一生懸命にハイハイをして私に抱き着いてきた時のことは今でも鮮明に覚えています。

育休を振り返ってみて

妻の産後うつ発症という人生の一大事で急遽取得することになった、正に想定外の育休でした。その中で私が学んだ大切なことは2つあります。

母親の心身の状態

1つ目は、出産後に激しく消耗した心身の状態で母親が育児をすることは相当無理があるということです。特に、初産であれば分からないことだらけで不安も大きいです。育児経験がない点では父親も母親も一緒ですよね。私は元々子育てに関心があり、職業柄日常生活のお世話にも抵抗はありませんでした。仕事も定時に終わり、帰ってからは殆どの育児を行っていました。所謂イクメンと言われる存在でした。仕事も育児も両立でき、充実した気分でいましたが甘かったです。「産後うつにならずに育児ができる母親が凄すぎる!」が正直な感想です。

母乳以外は父親でもできる

2つ目は、母乳以外の育児は全て父親だけでもできるということです。妻の病状が最もひどい時は、1か月以上寝たきり状態で息子と会うことすらできませんでした。その間も、義母のサポートを受けながら父親主体で家事も育児も乗り切ることができました。

出産後の育児は父親が主体で行う

この2つの理由から、私が導いた理想の育児は「産後うつを予防するためにも、出産後の育児は父親が主体で行う。母親は自身の心身の回復に専念し、余裕があるときに育児を手伝う」です。そのためには、出産直後からの育休取得が大前提になりますし、出産前の準備(育児の知識や技術習得、職場への協力依頼等)も大切になります。

次に子どもが生まれたら育休を取得したいか

現在も育児の主体が私であるため、出産直後からの育休は必須になります。たとえ妻に十分な育児能力があったとしても、産後うつのリスク回避のため育休を取得します。期間については、最短で半年を考えています。これは、保育園の入園基準を満たすためです。

育休を取得する人へのメッセージ

家族を守るために

産後うつ発症後の育休取得という、かなり特殊で暗い体験談だったかと思います。

しかし、産後うつ発症は残念ながらどの家庭でも起こりうることです。そして、父親に育児能力がなく身内にも協力を依頼できない場合、子どもを手放すしか選択肢がなくなります。

私の場合、精神科看護師という経験や職場の上司の理解という幸運が重なり、イレギュラーな形でも育休を取得でき育児の引継ぎや妻のサポートを行うことができました。そうでなければ、今頃息子は目の前にいなかったでしょう・・・文字通り、家庭崩壊を引き起こさないためにも、私は父親の計画的な育休取得が必須だと考えています。そして、育休を取得することで、子育てのスタートから育児協働を行うことができ、その後の子育ても父親が主体的にかかわることが当たり前になりますし、育児への心理的負担感は軽くなります。これは父親にとっても家族全体にとっても大きなメリットだと思います。

子供の成長を一番身近に感じること

暗い話ばかりでしたが、もう一つ大切なメリットがあります。子どもの成長を1番身近に感じられることです。子どもと触れ合うことで、オキシトシンとよばれる幸せホルモンが沢山でますし、穏やかな幸福感を味わうことができます。そして、育休を取得した家庭の子どもはパパっ子になること間違いなしです。見返りを求えめなくても、触れ合った分だけ得られるものが多いことも子育ての魅力です。

経済的な理由や職場の理解など男性が育休を取得する上で考えることはたくさんあります。私からのメッセージとして、考えるべきことの1つとして、産後うつ病のリスク回避という視点を持っていただけたら幸いです。

あっ。最後にこれだけは約束してください。育休をとっても、家でゴロゴロするとかは絶対にやめましょう。実際、女性の中には「父親に育児は任せられない、負担が増えるだけ」と考えている方がまだまだ多いです。これからのパパ達の力で「出産お疲れさま、育児はパパに任せて!ママはしっかり休もうね!」こんな日常を当たり前にしていきましょう。

育休中の気分転換〜Twitterのすすめ〜

男性育休は未だに少数派です。休暇中は孤立してしまうことも多いでしょう。私も相談相手がいなく辛い時期がありました。そんな時、SNSでの繋がりも支えになります。特に、このブログの管理者であるシカゴリラさんが育児に携わるパパさんが集うコミュニティである「パパ育コミュ」を運営されています。フォローするだけで、父親育休仲間に出会えて有益な情報も手に入ります。

あの頃からSNSを利用していれば・・・これを読んだ方、悪いことは言いません。Twitterを始めましょう。

以上が、「【男性育休体験記】「産後うつに苦しむ妻と愛する子供を守るために、とみたんさん」でした。

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コメント

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