「育休復帰って、育休取得よりも大変!?」
「育休はスタートラインであって、ゴールではない」
育休を取得したパパの多くは育休復帰に際して、このようなことを感じています。
そして、自分らしい働き方を模索し、会社やパートナーとコミュニケーションしながら働き方をデザインしていきます。
本記事では、実際に育休復帰したパパさんの体験も踏まえながら「育休復帰後の自分らしい働き方のデザイン」をテーマに執筆していきます。
本記事を読むと、育休復帰後の働き方のヒントが得られるかもしれません。
本記事は、パパ育コミュのイベントをベースにして作成しています。ベースになったイベントのアーカイブをご覧になりたい方は「パパ育コミュLine公式」から「Slack」に申し込むか、もしくは、papaikuq(アットマーク)gmal.comまでご連絡をお願いします。無料で視聴できます。
子供ができて知る「ライフワークバランス」の本当の意味
子供が産まれる前の「ライフワークバランス」
子供ができる前の夫婦関係において、比較的柔軟にライフとワークのバランスを取ることができます。
これは、独立した大人同士が共同生活を送るというパートナーシップに基づいて、柔軟に仕事と家庭のバランスをとることができるためです。
子供が産まれた後の「ライフワークバランス」
子供ができるとパートナーシップは質的に大きく変わります。
従前の共同生活を送るという「共同性」の強い関係性から、共に協力して二人三脚で子供を育てるという「協働性」の強い関係性に質的に変化が生じます。
こうした変化に対して適切に対応できるかは、夫婦の健全なパートナーシップを構築する上で非常に重要なポイントです。
(お恥ずかしながら私も含めてですが💦)昭和時代の父親の背中を見て育ってきた世代は、子供が産まれると、会社の上司や同僚の影響も受け「子供ができたから子供の分も頑張って働こう!」と勘違いしてしまうことがあります。
こうしたパートナーシップの質的な変化に気づいて、健全なパートナーシップを構築しながら二人三脚で育児に励むための礎を築く、最も効果的な手段が「男性育休」です!
育休復帰パパが直面する仕事と育児に両立
育休、特に1ヶ月以上の長期育休を取得したパパのほとんどは「育児スイッチ(育児に当事者意識を持って主体的に取り組むためのスイッチ)」が完全にONになっています(たまに会社に言われるがままに育休取得すると取るだけ育休が生じることもありますが💦)。
そのため、育休から復帰するパパが直面する最も大きな課題の一つは「仕事と育児の両立」です。
「仕事の合間に育児をして、育児の合間に仕事をする」
育児は子供のペースに合わせないといけませんし、仕事もお客さまや関係各位のスケジュールがあり、自分のペースで1日のスケジュールをコントロールすることは難しかったりします。そのため、仕事と育児がごちゃごちゃに入り組んだスケジュールの中で“てんてこまい“になります。加えて、隙間時間で家事をこなさなければなりません。
もうこうなっては子供が産まれる前(育休前)と同じ働き方は望むべくもありません。
【アンケート調査】育休復帰パパの働き方の選択肢
では、以下では実際に育休復帰したパパ達がどのように「自分らしい働き方をデザインしているか」をパパ育コミュが2022年3月に長期育休取得者を対象に実施した「育休パパの職場復帰に関するアンケート調査」から見ていきます。
89.4%の育休復帰パパが働き方を変えようとしている!
本アンケートの回答者は全員が1ヶ月以上の長期育休取得者となっており、過半数が6ヶ月以上の育休を取得しています。
そのため、アンケート回答者が育休期間を通じて仕事を離れて育児にどっぷりと使った日々を長期間過ごしていることが推察されます。
こうした長期育休取得から復帰するパパの約9割が働き方を変えようとしていることが分かります。
育休期間を通じて育児にフルコミットしていたことから、「ライフワークバランス」でいうところの「ライフ」の比重が非常に高くなっており、ライフに合わせた働き方を模索していることが分かります。
ライフに合わせた自分らしい働き方のデザイン
実際に「ライフ」に合わせた自分らしい働き方をデザインしようと思った際、以下のような選択肢がありますが、育休復帰するパパはどのような選択肢を検討しているのでしょうか。
- 時短勤務
- 在宅勤務
- 定時ダッシュ
- 起業・創業
- フレックス制度
- 子の看護休暇
- 主夫
- 転職
アンケート結果から、「定時退社」、「在宅勤務」を検討する割合が多く、職場復帰する育休パパはできるだけ残業時間や通勤時間を減らしながらフルタイムで働ける選択肢を第一に検討していることがわかります。
加えて、「フレックスタイム制度」、「時短勤務」を検討する割合も高くなっています。子供の保育園の送迎の時間などを考えると通勤時間や園の制度などによってはフルタイムで9時ー17時といった固定的な勤務時間の設定が難しいケースもあることが想定されます。
また、「仕事と育児の両立」において大きな課題となるのが突発的な子供の傷病です。そのため、「子の看護休暇」の利用も少なからずの割合の人が選択しており、不測の事態への備えを含めて職場復帰を検討していることがわかります(「病児・病後児保育」や「NPO法人フローレンス」の利用を検討する声もあります)。
「転職」や「起業・創業」という選択肢を検討するパパもいることがわかります。育休復帰は原則として職場復帰が前提となるのですが、事情によっては働き方を変えるために新しいキャリアへ一歩を踏み出すということも視野に入れるパパがいることが分かります。
育休明けに転職をしようとすると転職理由が「育児をしたいから」、「時短勤務などを利用した柔軟な働き方がしたいから」ということになり、なかなか事情に理解を示してくれる転職エージェントや採用企業は少ないのが実情だったりします。もっと、ライフに合わせた自分らしい働き方が柔軟にデザインできる社会になるといいな〜。
実際に育休復帰する際の働き方としては「定時退社」、「フレックスタイム制度」、「在宅勤務」を選択する割合ある多くなっていることがわかります。まだまだ子供を抱えて将来的にお金もかかりますし、また、日本においてフルタイム以外の柔軟な働き方を一度選択してしまうと後戻りができなくなってしまったりするのが実情です。現実的にはフルタイムを前提としながら育児時間をできるだけ確保するというのが多くのパパの育休復帰後の落とし所となっていることがわかります。
一方で「時短勤務」を選択する場合もありますし、また、「起業・創業」といった様々な選択肢を取るパパがいることがわかります。
【事例で見る】育休復帰パパの働き方のデザイン
UDさん「定時退社」
UDさんは中学校の先生ですが、職場復帰に際して中学3年生の担任になってしまいました。進路指導が伴うため非常に負荷が高く通常であれば残業時間が月100時間を超えることが一般的なのですが、なんとか育児の時間を確保するために様々な工夫を講じるとともに、職場のサポートと理解を得ながら18時の定時退社を実現されました。
ゆういちさん「フルタイム、起業・創業」
ゆういちさんは双子のパパさんです。育休復帰後1年間はフルタイムで勤務されましたが、コロナ禍になり在宅勤務をするようになると、奥様から「家にいてくれるだけでだいぶ助かる」と言われました。その一言で会社から独立する決断をされました。
りすパパさん「時短勤務・転職」
りすパパさんは保育園の送迎や育児時間の確保を目的に「時短勤務」を選択しました。しかし、職場に前例がなかったため、歓迎されていない雰囲気をひしひしと感じ、結局一年後に転職することとなりました。まだまだ、男性社員が時短勤務を取って育児をするというのは職場によっては難しいことがあるのかもしれません。
パパ育コミュが開催した「多様な働き方の選択肢」をテーマにしたイベントに参加したことがあります。コミュニティ限定でYoutubeにアップされているそうですので、よかったらご覧になってはいかがでしょうか。
「ライフに合わせた働き方」ができる社会へ
日本の伝統的働き方という「負の遺産」
現代の日本社会において「ライフに合わせた働き方」をするのは容易なことではありません。
高度成長期に形成された「終身雇用」、「年功序列」、「長時間労働」等と言った日本の伝統的な働き方は、自国経済の発展の余地が大きく、また、欧米列強に追いつくという明確なビジョンがあれば効果的な働き方なのかもしれません。
しかしながら、現代の日本のように経済が一定程度発展し、人口現象や少子高齢化といった社会課題を抱える中で、そうした過去の遺産を引きずった働き方を継続することは必ずしも効果的な働き方とは言えないかもしれません。
まして、育休復帰するパパが「ライフに合わせた自分らしい働き方」をデザインする上で、こうした過去の遺産が障害になるようでは、高度成長期に形成された伝統的な働き方は「負の遺産」といっても過言ではないかもしれません。
ライフワークバランスの本当の意味
日本人サラリーマンの多く、特に50代以降の経営・管理職層の多くはこうした日本の伝統的な働き方を「是」として捉えている傾向にあります。そして、そんな働き方(「ワーク」)を生き方に根幹に据えて、家族との時間を含めたライフを過ごしています。そのため、上司は週明けに出社して同僚や部下と「週末は家族サービス頑張って遊園地に行ってきたから疲れちゃったよ」と会話をしていたりします。
一方で、育休復帰したパパは、家庭を生き方の根幹に据えて、働き方をデザインしています。そのため、上司の「家族サービス」という言葉に強い違和感を感じたりしています。
きっと、今は働く世代、特に、経営・管理者層と被管理者の間で「ライフワークバランス」の前提にある価値観が大きく異なっている時期なのだと思います。
だから、我々育休復帰したパパはそうした世代間の価値観の違いに違和感を感じるとともに、ライフに合わせた自分らい働き方をデザインする上で、様々な目に見えないねっとりとした雰囲気を感じるのかもしれません。
本記事では、こうした「ねっとりとした雰囲気」を肌で感じながらもなんとか自分らしい働き方を模索する育休復帰パパ達のリアルな姿を「アンケート調査」や「体験記」に基づいて紹介してきました。
(本記事は「7人の育休パパが語る、育休復帰後の自分らしい働き方のデザイン」というイベントの内容をベースに記載しております。イベントの動画をご視聴になりたい方はご連絡ください)
育休復帰パパさんのアドバイス(コメント)
長文をお読み頂きありがとうございます。硬い話が最後に続いてしまいましたので、最後は育休復帰されたパパさんの仕事と育児の両立の工夫をご紹介します!
働き方改革や仕事の効率化、時短をして、定時退勤をし、子どもや家庭の時間を少しでも多く取れるようにしている。復帰後にどれだけ頑張っても物理的に無理な事もあるので、そこについては、パートナーと相談して仕事(家庭内)や役割の分担をしている。
出来るだけ定時に終わるように、仕事を抱えすぎないよう調整している。ふれるものは周りにふっている。
メーカー勤務で生産ラインを構築する職種のため、出勤が当たり前・ライン稼働時間にいなければいけないという風潮が所属部署にある。 変えたいと思い、在宅勤務やフレックスを使ってはみるもののあまりよく思われていないように感じるため実行に移しにくく苦労しておりつらく感じる。 結果育児にも参加できにくくなり家庭にも負担をかけており申し訳なく感じる。
事前に職場でたくさんの関わる人に話をして、理解を促しました。結果として、同僚からの理解・応援を多く得られたように思います。
パートナーとのコミュニケーションが何よりも大事です。復帰後に家事や育児、また、仕事をパートナーとどのようなポートフォリオで分担するのかはきちんと継続的に話すことが大切だと思います。また、できるだけ周囲に気兼ねなく頼れる人を見つけておくと、子供の突発的な病傷において本当に助かります。
男性の育休について理解してもらえるようにプレゼン資料などを作って、育休のメリットとかを繰り返し紹介しました。
・勤務の合間をみて睡眠時間確保(夜泣き対応で不足がちな時)
・原則定時退社(「残業はしない人」という自分づくり)
会社が、定時で帰る、休暇をとる、というようなことに対して、理解を示したり、どうすれば実現できるかを、もっと考えるべきだと思いました。会社の上層部はモーレツに働いてきた世代なので、男性の育休を頭でわかっていても、心から同意しているかというと、そうではないように感じたので。
比較的柔軟な働き方ができる職場ですが、当然業務もしっかりやることが前提なので、自分でうまくバランス取らないといけない
職場は過度に自分に期待して重い仕事を任せてきた。それは面談の時点で確定事項だったので抗えなかった。妻の妊娠や育休のブランクがあるのに、育休前より重い仕事と家庭とのバランスをとるのは至難の業だった。よく1年間もったなと思う。
復帰後に異動になったこと。 出張仕事は好きだが、育児との相性が良くないこと
突然の熱発などへの対応。 私は在宅勤務ができない職種で妻は在宅勤務をしているためどうしても家庭の負担が妻に大きくなってしまうので日々気を遣って、家事分担や保育園の送迎などの分担を積極的にしています。 それでも、負担のウェイトは違うので家族サービスで補填しています。
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