男性の育休は人それぞれです。家庭環境や職場環境等に応じて育休のあり方は異なってきます。
パパ育コミュでは、そんな多様な男性の育休について育休取得者の体験記を通じてお伝えしてしていきます。
ただ、今回はセロ子さんに「ママ目線」でパパの育休を語っていただきます。
プロフィール
・名前 セロ子
・具体的な育休取得期間
ママ 産休2021年5月25日〜8月31日
育休2021年9月1日〜2022年6月31日(予定)
パパ 育休① 2021年7月13日〜9月3日
育休② 2022年6月中旬〜9月5日(予定)
※育休①については、出産予定日7月13日に育休開始の申請していたが、実際は7月6日に出産。育休期間は変更せずに7月6日〜13日までは特別休暇等を利用。
※育休②についてはパパ休暇制度とパパママ育休プラスを利用し、子供が1歳2ヶ月になるまで分割して取得する予定。
・居住地 静岡県
・職業
ママ 団体職員正社員(1001人以上)
パパ 会社員正社員(1001人以上)
グランマ 会社員正社員(1001人以上)
・育休取得時の家族構成;ママ 32歳、パパ 33歳、長男 2ヶ月(2021年7月生まれ)、グランマ 59歳
自己紹介
大学院では、家族心理学を学ぶ。
猫とスポーツカーを愛し、仕事もバリバリこなしたい欲張りママ
家族の紹介
ママ、パパ、グランマの3人はみんなスポーツカーが好き、3人ともフルタイムで働きながらそれぞれの趣味を楽しみつつ一緒に暮らしている。
最近の週末は、家族で自宅でBBQをしたり、燻製をするなどして、コロナのおこもり生活を楽しんでいる。
仕事のキャリア
【パパ】大学卒業後は大阪の実家のすぐ近くにある会社に就職したが、キャリアアップのため現在の仕事の転職し、同時に静岡県に転居。車の部品の開発に従事。
【ママ】大学院卒業後、全国転勤の専門職として、現職に就職。現在は、愛知に勤務し、静岡から新幹線通勤をしている。自己紹介でも述べたように、職場の不適応事案に関する助言や雇用管理に関する研修をする仕事に従事。
【グランマ】現在は、生命保険会社の営業として勤務(5年目)しており、成績優秀者としていくつもの賞をもらっている。
育休取得プロセス
家族(夫婦や両親等)との話し合い
育休取得についてパパとママのどちらから切り出しましたか
パパの育休取得についてはママから結婚する際の条件として約束した。
具体的には、結婚前から、ママが全国転勤の専門職としてのキャリアを手放すことを考えていないことをパパに伝え、子どもができても仕事を辞めないし、子育て期間に単身赴任となることは避けられない(転勤は約3年ごと)が、ママとしては、子どもの思春期に両親がそろって同居をしていることが大事だと考えているため、就学前~小学校低学年の時期にママが単身赴任となることを了承してもらえれば結婚できると説明していた。
パパはその時に、迷いなく笑顔で「子どもと一緒に(単身赴任先に)遊びに行くね」と言ったことが一番の決め手となりパパと結婚。
結婚後、改めて妊娠計画の話し合いの際に、出産後はパパにも育休取得は必ずしてほしいとママから伝えた。
その後どのような話し合いが夫婦間であったか
妊娠計画の話し合いの中で育休取得について作戦会議をしていた。
まずは、パパが「うちの会社は男性でも育休とれるのか分からない」というため、法律でとれることになっているから心配はないよ、とママから説明したが、納得せず。パパの会社から、就業規則を持ってきてもらってママが就業規則を確認の上、パパに育休の制度について解説した。
会社との交渉は妊娠3ヶ月の段階で上司に相談した。パパが上司に、育休取得の意向があることを打診したが、その際には、「評価が下がるけどいいのか?」と聞かれ、ちょうど人事面談で良い評価を受けた後だったので残念だったと、パパはイライラして帰宅。
パパには、場合によってはハラスメントでの通報も視野に、社内窓口の確認をするようにママから助言。
ママが妊娠7か月の頃になると上司から「できれば、育休は取得せず、1か月間のリモートワークでしのいでほしい」という打診があり、パパは「いや、それはできません。育休を取らせてください」と答えたが、「一旦持ち帰る」と上司に言われ、イライラしすぎて、お昼休憩になったことも忘れご飯食べられなかったたほど。上司の態度にパパは怒り心頭で帰宅。
ママからは「上司とは数年の付き合い。ママとは一生の付き合い」よく言ったね!えらいね!今後の交渉も冷静にね、とパパを褒めた
翌日には、「リモートワークをしながら育児の合間に仕事をすると、他の真面目に仕事をやっている社員の士気を下げることにもつながるので、休んで育児に専念したいです」と伝え、そこからは、上司も、育休中のフォロー体制構築に向けて、実際に調整をしてくれた。
ママとしてパパの育休への懸念はあったか
特に懸念はなかった。
キャリアについては、事前に話し合いをして、2人とも就労継続は希望するが、管理職になることよりも、技術者としてずっと現場にいたいという気持ちがあるため、育休によるマイナスは大きくないという結論に至った。
収入に関しては、ママの会社が産休中は全額給料支給で社会保険料が免除になることから、普段よりも手取りが2割増しであった。パパとママの給料がほぼ同額なため、パパが育休をとって、育児休業給付金が普段の手取りの2割減となっても、夫婦の収入としてはプラマイゼロになること、また、夫婦合算での、年収により保育料が決まるため、パパにも育休をとってもらうことで、世帯年収をさげ、息子の保育料を下げることも目的としてあったため、収入という面ではマイナスがなく、支出という面ではプラスの効果が期待できた。
パパの育休取得にあたっての不安とそれに対してママがしたこと
ママは、普段からパパの職場の同僚や後輩とコミュニケーションがとれるよう、飲み会の帰りにお迎えにいって上司に挨拶をしたり、バイクのツーリングなどを企画し、パパの同僚との顔見知りになるようにしていた。
実際に私の出産が近づくとパパは「自分の席がなくなってたらどうしよう」「お前もう来なくていいよっていわれたらどうよう」と冗談っぽくいうこともあったが、「本当に〇〇さんがそんなことするかな?」「仕事の引き継ぎするのって〇〇さんでしょ?」など具体的に話すと、夫も、「たしかにそうだね」と安心してくれた。
パパが男性育休を取得することへの周囲からの反応
【ママの実母】もともとママの実母であるグランマとの同居の条件が、「家事はするけど育児はしない」だったため、グランマは、大賛成
【パパの実父】一方、パパの実父は、育休について、不安に思っているようで、何度も、取得期間について質問があったが、直接に取得についてネガティブなことを言われることはなかった。
【ママの職場】私の職場の上司などは、夫が育休をとるのなら、私が育休をとらないのだろう!と早とちりをされて、新しい大きな仕事を任されそうなった。
育休取得期間
①ママとしては妊娠を計画した当初は、半年ほど取得してほしかった
②家族年表を作成し、子どもの保育料などを計算した結果、私たちの家庭においては、パパママ育休プラスを活用し、パパが2回に分けての育休取得が最も金銭的に良いと判断した。
③結果として、産後に2ヶ月の育休を取得し、ママの育休が明けて職場復帰するタイミングで改めて2ヶ月半の育休を取得することに決めた。
※育休期間については以下の記事もあわせてお読みください。
育休中のパパの成績表
パパの育児
ミルク ★★★☆☆
良かった:新生児期なども、ミルクについては問題なく対応してくれていて良かった。
良くなかった:母乳メインでの育児だったが、ママが息抜きできるよう哺乳瓶も忘れないように1日1回は哺乳瓶を使うことにしていたが、育休が終わる頃に、数日忘れてしまい、結果的に哺乳瓶拒否状態となってしまったため★マイナス2
ねかしつけ ★★★★☆
良かった:生活リズムをつくるにあたり朝7時に起こして、夜7時に寝かしつけるというルールを作って運用したが、その基本のルールは守ってくれ、朝7時になったらパパが息子を起こして、授乳以外はすべてパパがリビングで面倒をみてくれた。朝7時からお昼までは、睡眠コアタイムと称して、ママは、その時間は息子と離れて寝たい分だけ寝ることができたことは精神衛生上とても良い効果があったと感じている。
新生児期は、夜7時になかなか寝付くことがなく、ギャン泣きして2時間ほど寝かしつけにかかることもあったが、パパママで短時間で交代しながらの寝かしつけだったため、ストレスはさほど大きくなったし、7時就寝起床ルールを徹底することができたことで、息子の生活リズムも早期に定着し、息子が寝てからの夫婦の時間をもつことができている
良くなかった:お昼はパパが中心に面倒を見てくれていたが、リビングにあるベビーベットに乗せるとすぐに起きてしまうという理由から、お昼寝は、抱っこして寝かしつけそのまま抱っこしたままパパも一緒に寝たり、youtubeを見たりして過ごしていたため、家事はあまりやってくれなかったことが★マイナス1
おむつ ★★★★★
良かったこと;昼間は布おむつ、夜は紙おむつにしている。布おむつにしたいという希望はママからだったにも関わらず、パパが布おむつの洗濯をほとんどしてくれた。最初は、大便を洗うことに対して抵抗があったようだが、現在は、ウタマロ洗剤を上手に使いこなし、ママよりも、早く大便で汚れた布おむつを洗えるようになっている。
もちろん、おむつ替えもスムーズでなにか課題を感じることはない
お風呂 ★★★★★
良かったこと;ママが妊娠中に、手根管症候群という手がしびれてしまう病気(妊婦はなりやすい病気)になり、産後1か月ほどは症状があったため、沐浴はパパが全面的に担当してくれた。ママよりも筋力もあって器用なため、上手にお風呂に入れてくれている。復職後も、17時の定時で退勤し、18時からのお風呂とそこからの寝かしつけはパパがやってくれている。
夜鳴き対応 ★☆☆☆☆
良かった:ママは先述した病気により手のしびれと痛みがひどかったため、退院後の1週間は、パパにも夜間授乳の際に、息子が窒息しないように、乳房を支えたり、息子が飲みやすい姿勢になるよう手を添えるなどを手伝ってくれたり、ミルクを作るなどしてくれた。
良くなかった:退院後3日ほどでパパは眠気がひどく、目を閉じたまま乳房を支えている事が何度もあり、息子の窒息の危険を感じたことと、手根管症候群の症状も治療のおかげで軽減しつつあったので、夜間授乳については、ママのみでの対応とした。
夜間授乳後の寝かしつけ時に、息子がギャン泣きしてもパパは寝返りを打ってママと息子に背を向けて寝続けることがあり、ママの気持ちとしては、不快であったため、一時期寝室を分けることも考えた(結果的には一緒に寝た)ため、★マイナス4。
パパの家事について
料理 ★★★★☆
良かった:妊娠前から料理は比較的接触的にやってくれているし、調味も上手なため、作った料理にはおおむね不満はない。
良くなかったこと:油もの、炭水化物ばかりのものしかレパートリーがなく、毎日食べるのには適さない食事ばかりで、妊娠期も、仕事が忙しくパパに料理をしてもらっていた時期だけ、体重がとても増えてしまった。
調理器具の使用や調味については、おおむね問題がないため、副菜という概念を持つように、まずはママが副菜を調理し、少しずつ覚えてもらう予定としている。
洗濯
洗濯はグランマの担当で、パパもママもほとんどやっていない。
グランマとの同居の前には、パパにもやってもらっていたが、洗濯ものを乾くように干すという概念がなく、ただ干すだけで生渇きになまたこともあった。また、洗濯物を畳むのはママもパパも苦手なため、今は洗濯大好きなグランマがやってくれている。
※一方で、グランマは料理が苦手なため、料理は一切やらない。
大人3人の生活のため、それぞれ苦手な家事は、なるべくやらない、得意な家事だけやって、うまく折り合いをつけることとしている。
掃除 ★★★☆☆
良かった:パパは掃除が好きではないが、ママが産後にからだがしんどい一方で、猫の毛がたくさん落ちているリビングで気持ち的にゆっくり過ごせないことが不満に思っていたため、リビングの掃除機がけについては、毎日してくれるようになった。余裕があれば、プラスしてモップがけもやってくれており、とても気持ちよくリビングで過ごせた。
良くなかったこと(アドバイスして改善したこと):もともと掃除が好きではないため、「やっても意味がない」と毎日やってほしいとお願いしたリビングの掃除機がけをやろうとしなかったり、「褒められなかったからやりたくなくなった」と3日1回はやってほしいとお願いした寝室掃除も月数回程度であったが、リビングの掃除については、「床をきれいにするためではなく、ママが喜ぶためにやってほしい。すぐにまた汚くなっても、1日に一度はぴかぴかになると、ママがうれしいから」と伝えて、納得してもらった。家事はどこまでやるのが正解というのがなく、家族の中で合意がとれることが大事なため、「どこまでやるか」もしくは「やらなくていいか」を一緒に考えることや、家事に対するモチベーションを高めるための認知の転換も必要だと改めて感じた
買い物 ★★★★★
言われたものを買ってくることは十分にできるし、食材の調達時には、野菜の高い安いなどについての知識はあるため頼むのに問題がない。
ゴミ出し ★★★★★
結婚して同居を開始した当初からゴミ出しはパパの仕事で、ママは完全にノータッチ。
名もなき家事 ★★★★☆
気が付いたらやることはできるが、気づくことができない場面もある。気づかない場面があった時に、今度から気が付いた時にやってほしいと一言ママがパパにいうといじけるときがあるため★マイナス1。
育休全体を通じた総合評価 ★★★★☆
出産後思うようにママが育児できないことを想定して、産後すぐにパパの育休を取得してもらった(ママは知り合いに初産で産褥期精神病を発症し、産後に幻聴などの精神科症状がでて、深夜に裸で急に家を飛び出し、山のなかで発見され精神科に入院した人がいた)。
今回、私の場合は、手根管症候群という手のしびれ、痛み症状がでてしまったことで、息子を抱っこするにも、手首がいたく、また関節もうまく曲げ伸ばしができなくなってしまい、授乳にあたって息子が窒息しないように乳房を支えるなどの行為すら困難な状況だったことから、パパが育休をとっていなければ、本当に悲惨な状況であったと思う。
一方で、育休の後半は、パパもだらけがでて、ミルクを哺乳瓶であることを忘れたり、昼間の寝かしつけを真面目に取り組まず、一緒にねてしまうなどがあったため☆マイナス1。
これだけはどうしても直して欲しかった/我慢ならないこと
主体的に考えて行動することができない。調べたり、考えたりせず、自身の弟(10歳下)の育児で母親から学んだ経験をそのままで、アップデートするつもりもなくやっていたことが不満だった。
ねんねトレーニング等については、ママが最初に本を読み、パパに本を読むように伝えなければ本を読むことはなかったし、本を読んでも内容をしっかりと理解し、実践に活かすまでに至っていないことがあった。例えば、昼間の寝かしつけにおいて、抱っこのまま寝かせないようにと書いてあるが、まったく頭に入っておらず、抱っこしたまま一緒に寝ていたし、そのことを指摘すると、「使えない旦那さんでごめんね!」と逆ギレしてしまうことがあった。
家事については、もともとママが担当していた家事をパパがやるときに、パパ自身がママが実践してる手順の一部を「意味がない」と判断し、勝手に省略することがあった。そこで、後からママからみて不十分でやり直しになってしまうこともあるが、その際にパパが不満そうにすることあがあり、確認をする習慣をもってほしいとお願いしているが、なかなかうまくできていない。
育休を取得したパパへのメッセージ
毎日お仕事に、育児にお疲れ様です。
パパが育休をとってくれてお世話を一緒にしてくれたことで、本当に楽しい育児生活のスタートがきれました。
パパがお仕事に復帰してからは、毎日パパが帰ってくるのが楽しみでしょうがありません。息子と二人で楽しそうにお風呂に入る姿を見ること、ふたりでこそこそ話をしながら、息子を寝かしつける時間は、私にとってはとても幸せな時間です。
お仕事と育児の両立は大変だと思うけど、これからも二人で子育て頑張っていこうね。
育休を振り返って
周囲の反応(羨望、暖かい眼差し、冷たい/親、友人・知人等)をどう感じたか
【産院】手のしびれの話題になった際に、「里帰りをしない」といったら大変に心配され、「夫が育休をとる」というと、夫の会社がいい会社なんだろうとか、夫がえらいね、といった話になって違和感を感じた。なぜ、パパはお休み取るとえらいのか?わからないなぁーと。
また、パパ休暇は、出産予定日よりもはやく出産した場合は、出産日が開始日、出産予定日から8週間が終了日となるが、その規定について多くの人が知らないため、産後に、出産予定日証明書を出してほしいと産院で依頼したが生まれてからなぜ必要なのかと説明を求められたり、母子手帳ではだめなのか、など問答があり、新生児を連れているにもかかわらず50分も待たされるなど、まだまだ制度についての理解が乏しいことで、スムーズに対応してもらえることに残念な気持ちを感じた
【同僚や友人】
職場の同僚や、学生時代の友人たちは、いたって普通のこととして受け入れてくれた。職場においては、男性の育休はすでに珍しくはない状況であるため、同僚からは、特になにもいわれなかった。上司だけは、パパが育休とるなら、ママが産休だけで復帰してほしいという気持ちがあったよう。
友人は、専業主夫や駐在夫などをもつ人も珍しくなく、特に違和感がなかった。
育休を取得してもう一人子供を作ってもいいと思えたか、また、もう一人子供が生まれたらまたとって欲しいか
正直、妊娠期間がとてもつらかったため、二人目がほしいと思えるか不安があったが、現在は、夫が育休をとってくれるのなら、2人目、3人目も十分視野に入れることができると感じている。
育休からの復帰においてパパは苦労していたか
復帰に際して、パパは数日前から不安を感じている様子がうかがえたが、復帰後は、特に問題なく過ごせてるようだった。パパの代わりに仕事を引き継いだ社員が、パパよりも10年以上ベテランの社員であったことも、周囲から受け入れてもらいやすかった要因と考える。復帰初日に、引継ぎをしたベテラン社員から、出産祝いをもらい、パパも安心した様子で帰宅してきた。
周囲の社員の反応は「育児どうだった夜大変じゃなかった?」という育児参加に関する質問や、「育休ってそんな短い期間でいいんですか?」といった制度に関する質問などが同僚や後輩からあったようで、夫としては、好意的に周囲が自身の育休について考えていると感じられたよう。
復帰後は、ほぼ毎日定時で帰宅しており、帰宅後は、お風呂⇒授乳の手伝い⇒ねかしつけを1時間半ほどやって、寝かしつけが終わったら夫婦ふたりで夕食という流れ。夕方があわただしく忙しいように見受けられるため、今後はその疲れなどがどうなのかが、ママとしては心配。
育休を検討するパパママさんへのメッセージ
パパさんへのメッセージ
私は、全国転勤の専門職として年上部下たちをとりまとめ、バリバリと働く仕事人間でした。もし私が女ではなく妊娠という大きなタスクがない、もしくは養子縁組等の制度を利用しての親になるのであれば、自分は育休を取得しないで仕事を頑張りたい、パートナーに子育ては中心的に担ってもらって構わない(できれたらそうしてほしい)と考えていました。しかし、実際に、新生児期育児をしてみて、毎日変わる息子の表情、目覚ましい成長を目の当たりにし、こんな貴重な体験ができないのはもったいないことだと今は思っています。
組織で働いているパパさんたち、たしかに仕事に穴をあけるのは不安があるかもしれません。でも、考えてみてください、会社のなかに誰も代わりがいない役目を負っている人がいるとしたら、それは組織としては健全ではないのです。
育休もとれる、介護休業もとれる、そういう会社で働きたいと思いませんか?そういう会社になるように、もし、前例がなければぜひ、記念すべき第1号になってください。
ママさんさんへのメッセージ
男性で育休をとるという選択は、まだまだマイノリティです。パパやママが取得を希望したからといって、会社の総務や職場の上長がテキパキと手続きを進めてくれないケースも多くあるかと思います。
育休取得に向けた手続きの煩雑さや、制度に関する文書のわかりにくさなどから、育休取得そのものが「特別な人がすること」と認識されている感じることもありますが、決してそんなことはありません。
パパに育休をとって欲しいと思うのなら、まずはパパにそのことを伝えてみましょう。「難しい」と渋られるようであっても、一人での育児の不安や、二人で育児をしたい想いなどをしっかりと言語化してみてください。
もし、結果的に育休が取得できなかったとしても、そうやってパパとコミュニケーションをとり、前向きに二人での育児について考えることができれば、その夫婦なりのお互いが納得したかたちでの育児のスタイルを作っていくことができると思います。
その他(言い残したことがあれば是非)
里帰り出産や祖母の育児参加について
私の職場は女性管理職が多く、専門職として初めて理事に就任した人も女性であった。制度ができたばかりの産休を利用し、子育てをしながら、部長になった人も数名いる。しかし、一方で、50代半ばで、孫が生まれたことを機に里帰り出産ができる環境を整えるために退職する係長や課長補佐の女性もたくさん見てきた。定年まであと数年、次の転勤で課長や課長補佐のポストに就くことがほぼ確実な状況でも、退職するという形になることに、私は違和感を強く持っていた。男性の育休が当たり前になれば、こういった有能な女性がキャリアロスすることもなくなり、ママ世代だけではなく、祖父母世代においても良い影響があると思う。
男性育休がスタンダートになったとして、その先にありそうな懸念
私は、父親なんだから育児して当然、家事をやって当然、言われなくてもやれるようになれ、といった風潮には疑問がある。
それは、女性の社会進出がすすんだときに、ハイキャリアな女性を腐す言葉として「女なのに〇〇もできないのか」といったものや、産休や育休を取得し、職場復帰をする女性に対して「母親なんだから、子育てをして当然。働いてばかりでは子どもがかわいそう」といった世の中の考える理想の母親を押し付けられて苦しみ、抑圧されてきた有能な女性が多くいたことを知っているから。
だから、同じことを男性にしてしまうのは違うと思う。
バリバリ働きたい女性や家で夫を支えたい女性がいてもいいし、その逆の男性がいてもいいと私は思う。いろんなパパとママがいてよく、多様な夫婦のスタイルに合わせた選択肢のひとつに男性の育休というものがあるという前提で、男性育休という選択肢がスタンダートになって欲しいと思っている。
こちらの記事を読んだ方は、以下の記事「かなさんから見たパパの育休体験」もあわせて読んでいます!
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