#7 男性育休に向けた5ステップ③「会社の育休制度の確認!会社に制度がなかった時の対処法」

育休取得5ステップ

昨今ニュースで男性育休義務化が盛んに取り上げられています。

義務化されれば男性育休がとりやすくなることが想定されますが、中には育休制度自体が設けられていない会社もあります。そんな時にどうしたら良いのでしょうか。

本記事では、会社の育児休業制度の法的位置付けについて概説した後に、育児休業制度がなかった場合の対応方法について説明していきます。

就業規則には育児休業の記載が義務〜育児・介護休業法〜

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厚生労働省のHPにも明記されていますが、企業は「育児・介護休業法」に基づく育児休業を就業規則に含める義務があります(労働法において絶対的必要記載事項として定められている休暇の一項目としての記載が義務化)。そのため、原則として会社の就業規則には育児休業に関する記載が含まれています。加えて、会社によっては就業規則付随規定として育児・介護休業規程等を作成している場合があります。

就業規則を確認してみよう

そこで、まずは会社の就業規則(および付随規定)を取り寄せて育児休業に関する記載を確認してください。具体的には、「付与要件(対象となる労働者の範囲)」、「取得に必要な手続き」、「休業期間」を確認してください。育児休業に関する記載内容は「育児・介護休業法」と整合した内容になっているはずです。

ご参考までに「育児・介護休業法」に記載されている育児休業制度の概要を以下に紹介します。ただ、法律の文言であるため、内容は読んでも分かりにくいです。

そんな時は、まずは育児休業についての基礎知識として厚生労働省が実施しているイクメンプロジェクトで育児休業の概要を理解しましょう(https://ikumen-project.mhlw.go.jp/company/system/)。それでも分かりにくい部分については、お近くのハローワークに問い合わせると「育児・介護休業法」の記載内容について詳しく教えてくれます。

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参考
https://www.mhlw.go.jp/content/11909000/000355360.pdf

〜豆知識「ママが専業主婦でもパパは育休を取得できる」〜
出産後のママをサポートするのはママが働いている場合であっても、専業主婦である場合であっても、いずれの場合も取得可能です。厚生労働省のHPにも「配偶者が専業主婦(夫)である場合等、常態として子を養育することができる労働者からの育児休業取得の申出を事業主が拒むことはできません」と明記してありますのでご安心ください。

会社の就業規則に独自要件があった場合

会社の就業規則と「育児・介護休業法」を比較すると、もしかすると、会社が独自ルールを追加している場合もあります。

柔軟な独自ルール(有効)

基本的には会社が追加している内容は「育児・介護休業法」を補う内容となっています。例えば、企業で独自に育児目的の休暇として有給休暇として5日間付与するようなルールが追加されていたり、もしくは、育児休業中をボーナスの対象期間に加えるルールを加えているような場合があります。

厳格な独自ルール(無効)

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ただし、企業の就業規則に定められたルールが「育児・介護休暇法」に比べて厳しい条件である場合もあります。例えば、育休期間が「子が1歳に達する日までの間で労働者が申し出た期間」ではなく「子の出生後から1ヶ月以内の間で労働者が申し出た期間」となっているかもしれません。しかし、厚生労働省のHPにも記載されているように、そのような厳格な独自ルールは法的に無効ですのでご安心ください。

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本来はこのような企業独自の厳格なルールの設定はできない仕組みになっています。というのも、厚生労働省のHPにも記載があるように「育児・介護休業等に関して必要な事項を就業規則に記載した際には、これを所管の労働基準監督署長に届け出る必要があります。」と明記されているため、企業独自の厳格なルールは労働基準監督署によってチェックされる機能が働いているためです。

しかし、企業によっては就業規則は作成したものの労働基準監督署に届け出ていない場合もあったりと、チェック機能が100%働いていないのも実態です。そのため、もし企業独自の厳格なルールが就業規則に記載されていたら、労働基準監督署や都道府県労働局に相談して会社に修正してもらうようにしましょう。

ルールがない(無効)

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もしかすると、就業規則に育休に関する記載がない場合もあるかもしれません。そんな場合も安心してください。育児休業は「育児・介護休業法」に定める事項は労働者の権利です。育児・介護休業法において法の要件を満たす労働者からの申し出があった場合には育児休業を取得することができます。厚生労働省のHPにも「事業主は、要件を満たした労働者の育児休業を拒むことはできません。」と明記されています。労働基準監督署や都道府県労働局に相談して会社に就業規則に追記してもらいましょう。

ケーススタディ:シカゴリラの場合

私の場合は会社の社内ウェブサイトの規定類として就業規則が掲示されていたのでその内容を見て、育児休業に関する記載があることを確認しました。詳細な記載は付随規定に飛ばされていたので、そちらの内容についてもあわせて一読して、育児・介護休業法と整合する内容であることを確認しました。

ちなみに、独自ルールとしては育児休暇として男性に5日間の有給休暇を付与する仕組みがプラスで加えられていました。なお、賃金規定において育休対象期間のボーナスの付与はないことが明記されており、少しがっかりしたのを覚えております。育休中は働いていないのでボーナスは厳しいですよね。

(参考)
↓育休中もボーナスがもらえるように育児出向という制度を考えてみました。

#5【人生100年時代】人生の1%は家族のために
人生100年間時代に我々はどのように働き、生き、そして、育児に向き合えば良いのでしょうか?人生100年時代における働き方を考える時、働き方だけではなく家族や子供との在り方といった"新しい生き方"のようなものも併せて考える必要があります。育休というのもそんな"新しい生き方"の選択肢の一つとして選べるようになってきました。

こうした内容を踏まえてパートナーに報告しました。

🦍「就業規則を確認してみたよ。育児休業の規定があったから法律に定められているように男子も育児休業取れるみたい。ただ、女性と男性で承認プロセスとか違ったりすると嫌だから折を見て人事には確認してみようと思うけど。」

👩「そうなんだ。ひとまずは制度上は育休を取れそうということね。」

🦍「そういうことだね。法律とおりに男性も育休を取得できるみたい。ただ、ボーナスは支給されないみたい。」

👩「あら、そうなんだ。ボーナスが出ないとなるとお金大丈夫かな。」

🦍「多分大丈夫だと思う。お金も踏まえて育休期間を検討するから、お金が尽きることはないよ。それに、育休中は育児休業給付金が貰えるから、生活費くらいは賄えるみたいだし。」

👩「お金のことはお任せしました。あまり無理はしないようにね。」

🦍「承知しました。」

こうして、就業規則に関する報告はさらっと終わりました。ルールがあることの確認は、ルールがありさえすれば問題ないですからね。ただ、やはり気になるのは「育休期間」や「育休中の金銭面の負担」ということで指摘を頂いたので、詳細に検討をしないとと思った次第でした。

最後に

以上が、育休取得に向けた5ステップ「②社内育休制度の確認〜会社の育児休業制度がなかったら!?〜」でした。育児休業は会社のルールとして就業規則に記載が義務付けられています。そのため、コンプライアンスの意識が高まっている昨今ではほとんどの企業が就業規則に育児休業の記載があるはずです。ただ、中には例外があります。育児休業が就業規則に定められていなかったり、会社独自の厳格な育児休業制度が設けられている場合です。このような場合は、泣き寝入りしないで、しっかりと労基署や都道府県労働局等に相談しましょう。

長文を最後まで読んでいただきありがとうございました。
皆さんのコメントが執筆の励みになります。

男性育休取得に向けた5ステップ

①パートナー(ママ)への相談

②社内育休制度の確認

③育休期間の検討

④金銭面の検討

⑤社内承認

コメント

  1. […] […]

  2. […] 例えば、会社への報告においても上司に相談するのではなく、事前に人事部などへ根回しすることでスムーズにことが運ぶことがある。(シカゴリラの根回しの事例)また、上司に相談する前に、会社の人事制度(申請手続きを含む)や国の育児休業制度についてはきちんと下調べをして、上司に説明することが重要(上司も人事制度を全て把握できているわけではない)。会社に相談する時期についても、業務引き継ぎや人事補填等を踏まえて安定期に入った段階(6ヶ月前)には相談することが望ましい。こうした工夫をすることで育休を取得する際の苦労が低減される。 […]

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