#2こんな私が、1年間育休を取得した理由① 「第一子出生時の反省」

育休取得3つの理由

育休を取得した3つの理由

育児休業を取得した理由は3つあります。

①第一子出生時の反省
②過去の職場における男性育休取得者
③人生の1%は家族のために

今回は1つ目の理由である「第一子出生時の反省」について記載いたします。

私は、今でこそ男性育休の必要性を感じ、そして育休の必要性を訴えかけていますが、第一子出生時には漠然と育休が取れたらいいなと「漠然とした必要性」を感じていた程度で、「明確な必要性」をきちんと認識できてはいませんでした。そして、仕事の忙しさを理由に育休は取りませんでした。これは、ひとえに私が「出産」や「育児」について無知だったからです。

出産は「鼻からスイカ」ではなく「軽トラに轢かれるようなもの」!?

まず、出産の大変さについてです。

よく聞く例えとして、出産は鼻からスイカを出すようなものだと言われます。鼻からスイカをだしたら鼻がちぎれてしまうし、もしかしたら途中で詰まってしまい手術が必要になるのではないかと想像されますが、まさにその通りです。(具体的なことは想像にお任せしますが、)赤ちゃんが子宮から産道を通って出てくる際にまさに同様のことがより大きなスケールで起こります。

ただ、実は出産は「スイカを鼻から出すよりも」もっと大変で、むしろ「交通事故で軽トラに跳ね飛ばされるようなもの」とも言うそうです。これは、上記の赤ちゃんを取り出す際の産道周辺の破壊だけではなく、体の様々な部位が損傷することを表現したものです。

例えば、出産時に赤ちゃんが出てこようとする時に骨盤が開くことで、産後の女性の骨盤は緩くなり歩くのに一苦労です。また、胎児が大きくなるために子宮を大きくしたり、胎児に栄養を与える胎盤ができたり、胎児を育てるために体が変化していたのですが、これが出産と同時に急速に元に戻ろうとするため腹部を中心に強い痛みを伴います。

加えて、女性の体は物理的なダメージを負うだけではなく、出産後はホルモンバランスの大きな変化を伴います。

妊娠中は、胎盤の形成や胎児の成長に伴う子宮拡張を促すため黄体ホルモン(プロゲステロン)と卵胞ホルモン(エストロゲン)が多く分泌されます。こうしたホルモンが出産後に激減することからホルモンバランスが崩れ、抜け毛や肌荒れ、不眠といった症状を引き起こします。加えて、ホルモンバランスは自律神経を乱し、交感神経が優位になることから、いつも緊張している状態になりイライラすることがあります。そして、このイライラに産後の環境変化等のストレスが伴うとノイローゼにつながることがあります。

このように、出産後の女性は肉体も精神も疲弊し、言葉を選ばなければ「ボロボロ」の状態になっています。

育児は「気難しい上司に一人で仕えるようなもの」!?

次に、新生児を育てることの大変さについてです。

まず、新生児は水分や栄養を全てミルクから摂取するため昼夜問わず2〜3時間おきに目を覚ますので、その度に授乳をする必要があります。出産後の疲弊した体で十分に睡眠を取れない中、2〜3時間おきに授乳するというのは大変な負担となります。

加えて、新生児は非常に神経が敏感であり少しの物音や振動に対して目を冷ましてしまいます。夜中に授乳をして抱っこで寝かしつけて寝床に置こうとすると、置かれた際の少しの振動で起きてしまうことがあります。これは、通称「背中スイッチ」と呼ばれており、背中スイッチがオンになっている時は親は満足に眠ることができません。夜中に眠い中いつまでも泣き続ける新生児を抱っこし続けた経験はどの親もあるのではないでしょうか。

また、新生児は体温調整が上手ではないため暑さや寒さに関する不快、オムツが濡れたことによる不快等をまとめて「泣く」という一つの表現で訴えかけます。同じ泣くでも理由はそれぞれ異なり、それを親が斟酌して乳児の要望に応えなくてはなりません。これは、例えるならば明確な要求を示さない気難しい上司に仕えているようなものです。一人育児の場合は誰にも相談できず、さらに精神的に大きなストレスがかかります。

このように、出産に伴い女性が肉体的にも精神的にも疲弊すること、また、新生児の育児がそこに追い打ちをかけるように負担となることが分かります。

ケーススタディ「シカゴリラの場合」

私はこうした出産や育児の負担を頭では分かっていたつもりでした。プレパパ講座を受講したり、書籍で調べたり、妻と会話したり、ある程度の知識は持っていたつもりでした。しかし、あくまでも「つもり」であったのだと今では反省しています。

産後に育児に追われる妻に負担がかかっていることは分かっていたのですが、頭の片隅に「きっと大丈夫だろう」と思っていました。そして、世の中の多くの男性がそうであるように妻が家で育児を頑張っているのだから、男は外で仕事を頑張ろうと気を引き締めると共に、仕事に追われて家庭を省みる時間が十分に取れ無くなっていました。そして、ある日自分の認識が甘かったことに気付かされました。

寝室から聞こえる声

子供が産まれ3ヶ月ほど立った時、仕事を終えて夜に帰ってくると、家はいつものようにひっそりとしていました。物音を立てないように洗面所で手を洗い寝室の様子を伺うと、今まできいたことのない音がしました。何か、しゃくりあげるよううな音。それは、妻が泣いていたのでした。私は妻に声をかけました。

私「大丈夫、何かあったの?」

妻「分からない。」

私「分からないのに涙が出るの?」

妻「分からないの。ただ、涙が溢れ出てくるの。」

私はその時はじめて、妻が一人で新生児と向き合う中で少しずつ気持ちがすり減っていき、精神的に不安定になったことを知りました。

妻は我慢強い性格であったため、仕事で日中家におらず、当時長い時だと1週間近く出張で家を空けることもしばしばであった私に相談せずにじっと一人で頑張って育児をしていたのだと分かりました。

妻はまだ出産の後遺症が残る体で、一生懸命に細心の注意を払いながら我々二人の子供を大切に育ててくれていたのでした。私は自分のことが恥ずかしくなりました。二人の子供なのに妻ばかりに負担をかけてしまっていたのだと痛感しました。

この時に、私ははじめて、出産や育児の大変さを理解しました。そして、育休の必要性についても、今までの「漠然とした必要性」から「明確な必要性」を認識するに至りました。

最後に

これが、私が育休を取得した理由の1つ目である「第一子出生時の反省」です。

長文にも関わらずお付き合い頂きありがとうございました。

次回は、2つ目の理由である「過去の職場における男性育休取得者」について綴りたいと思います。

※【ご参考】育休を取得した3つの理由

第一子出生時の反省(本稿)

②過去の職場における男性育休取得者

③人生の1%は家族のために

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