「男性の育休」に関するアンケートレポート【全体編】

パパ育コミュ
子育てパパが集うプラットフォームである、パパ育コミュ(現在メンバー111名、うち育休パパ25名)では「男性の育休のリアルな姿をありありと伝えたい」という想いから、414名のパパママを対象に「男性の育休」に関するアンケート調査を実施しました。

アンケート実施方法

実施期間:2020年10月8日~2021年2月1日
対象者:男性育休経験者(パパ)、男性育休未経験者(パパ)、ママ
回収方法:インターネットアンケート(グーグルフォーム)を活用
※回答者の募集は主に100名を超える「パパ育コミュ」のメンバーの協力のもと、主にTwitterを介して実施
回収数;総回収数:414票
回収数内訳:男性育休経験者187票、男性育休未経験者105票、ママ122票

アンケート結果

育休取得の目的・きっかけ

本アンケートにおいて、育休希望者は約8割にのぼる(ⅰ)
実際の育休取得の有無に関わらず、パパは、育休取得を検討する際、パートナーのサポートや子供の成長を見守ることに加えて、他の目的や期待を持っている(ⅱ)
また、実際に育休を取得したパパの半数近くが、男性育休の先駆者となることを志向している(ⅱ)
周囲の男性育休経験者の存在が、育休取得にも影響を与えていることがうかがえる(ⅲ)(ⅳ)
他方、ママがパートナーの育休取得を希望しているにも関わらず、実際は、パートナーの約半数が育休を全く取得できていない(ⅴ)

(ⅰ)パパ(育休未経験)の育休取得に関し、「是非取得したいと思ったことがある」の回答割合は約4割であり、「取得したいと思ったことがある」と合わせると約8割が育休取得を希望している。

(ⅱ)男性育休を取ろうと思った理由として、「パートナーをサポートするため」「子育てに携わりながら子供の成長を感じるため」の回答割合が、育休取得の有無に関わらず約8~9割と高い。一方、実際に育休を取得したパパは、取得していないパパと比較して「周囲に育休取得者がいないため自分が前例になるため」の回答割合が約4割と高い。

(ⅲ)育休経験パパのうち、周囲の男性育休経験者が「1人」、「2人以上」と回答した割合は合わせて約7割。一方、育休未経験のパパは、こうした前例の存在が「0人」と回答した割合が約6割を占める。

(ⅳ)ママに関して、周囲の男性育休経験者の人数別に、「パートナーに育休をとって欲しいか」の傾向をみると、周囲の男性育休経験者が多くなるほど、「是非取得して欲しいと思ったことがある」の回答割合が高くなり、「2人以上」の場合はその割合は約8割にのぼる。

(ⅴ)パートナーの育休を希望するママのうち、パートナーが実際に育休を取得できた割合は、「希望よりも長く取得できた」、「希望通りの期間取得できた」、「希望よりは短かったが取得できた」を合わせて約5割。一方ママが希望しているにも関わらず「全く取得できなかった」割合も約5割。

育休取得に向けた準備段階

育休を希望するものの、特に取得に向けた行動をしていない「漠然と育休を希望する人」は約3割存在。一方、具体的行動をしている「育休準備者」は約7割存在(ⅰ)
「育休準備者」のうち、会社の育休制度等の情報収集を行う人は多くいる一方で、実際に職場や配偶者と相談した人は2~3割程度。更に、育休申請を行った人はごくわずか(約2%)(ⅱ)
社内制度未整備や育休を取りにくい雰囲気など、育休を織り込めていない職場が、育休取得に向けた調整・申請に踏み込む上での障壁になっている(ⅲ)(ⅳ)
一方で、取得希望者が自らが、日頃から育休を取りやすいような雰囲気づくりや職場での信頼関係の構築を意識すること、普段から家事育児に参画することも重要(ⅴ)

(ⅰ)育休を取得したいと回答した人のうち、具体的な行動をした人は約7割を占める。一方で、「特に行動はしていない」と回答した割合は約3割を占める。

(ⅱ)育休取得に向けて具体的な行動をした人のうち、「会社の育休制度を調べた」の回答割合は約8割で最も高く、「育児休業制度について調べた」が次いで約5割となっている。「家族に対する相談」は約3割、「育休中の金銭面のやりくり」は約2割と続く。

(ⅲ)育休未経験パパの育休断念理由として、「会社の雰囲気」や「人手不足」の回答割合は約5割と最も高く、「社内制度の未整備」が約4割と続く。

(ⅳ)育休未経験パパの育休断念理由と育休経験パパによる、育休取得時の苦労ポイントを比較した。育休未経験パパの方が高い回答割合を示しているもののうち、「社内制度未整備」における回答割合の差が約23ポイントと最も大きく、「取得しにくい雰囲気」の差が約11ポイント、「人員不足」の差が約6ポイントの差と続く。一方、育休経験パパの方が高い割合を示しているもののうち、「煩雑な申請手続き」が約17ポイント差と最も大きく、次いで、「上司の理解を得ること」が約12ポイント差、「金銭面の目途を立てること」が約8ポイント差と続く。

(ⅴ)育休準備にあたり気をつけるべきこととしては、「早めの上司への相談」の回答割合が育休未経験パパ(約6割)、育休経験パパ(約9割)共に最も高い。育休未経験パパに関しては、これに次いで「十分な貯金を蓄える」が約4割と高い。育休経験パパに関しては、「日頃の同僚との信頼関係の構築」、「普段から家事育児に積極的に取り組む」が共に約7割と高い。両者を比較すると、「日頃の同僚との信頼関係の構築」、「普段から家事育児に積極的に取り組む」の回答割合に大きな差が生じており(約40ポイント差)、「早めの上司への相談」についても約30ポイント差が生じている。

育休取得期間

育休期間に対するパパとママの希望と実態を踏まえると、必要性の観点からは「1ヶ月以上~3か月未満」だが、実際は、仕事の状況や金銭面の負担など、取得者の個別の事情を考慮して期間決定されていることがうかがえる(ⅰ)
育休経験パパのうち、育休を「1ヶ月以上」取得した人は、約5割以上が自分の取得期間に納得していることがうかがえる(ⅱ)

(ⅰ)パパ(育休未経験、育休経験)と、ママによる、男性育休期間を比較した。パパによる実際の育休取得期間は、「1ヶ月以上~3か月未満」が約2割と最も高く、次いで、「6ヶ月以上~9か月未満」となっている。育休未経験のパパによる希望取得期間は、「3か月」ママのうち、希望取得期間を「1ヶ月以上~3か月未満」と回答した割合は約4割で最も高い。

(ⅱ)育休経験者による育休の実際の取得期間とおすすめする取得期間の対応関係を下表のように表した。実際の取得期間が「1ヶ月以上~3か月未満」よりも長い期間を回答した場合、おすすめの期間も同様の期間であると回答した割合は、いずれも約5割を占める。一方、「2週間以上~1か月未満」より短い期間を回答した場合は、それよりも長い期間をおすすめするという回答が大半を占めている。

育休生活の実態

育休中の支出増減に対する実感値は回答者によって様々であり、必ずしも「育休取得=支出増加」ではないことがうかがえる(ⅰ)
育休中は特に育児、パートナーのサポートで苦労する割合が大きい一方、社会とのつながり、復職後の不安などパパ自身の漠然とした不安を抱えていることがうかがえる(ⅱ)
そうした不安を払しょくする意味合いもあってか、育休中には様々なことに取り組む割合が大きく、特にSNSなど外部との繋がりを求めている様子がうかがえる(ⅲ)

(ⅰ)育休経験パパによる育休中の毎月の支出の実感値を見ると、「増加した」、「変わらなかった」、「減少した」それぞれの回答割合はいずれも約3割となっている。

(ⅱ)パパが育休中に感じた不安や苦労をみると、「育児に苦労した」の回答割合が約6割と最も高く、「パートナーの精神面のサポートに苦労した」が約5割、「社会との関係性が希薄になり不安」が約3割と続く。

(ⅲ)育休中に行った家事育児以外の活動について、「SNS」と回答した割合は約6割と最も高く、「読書」が約4割、「運動」や「資産運用」、「ブログ」が約3割と続く。

男性育休の評価

育休経験パパの約9割が次回以降の取得意向を有している(ⅰ)
育休経験パパにとって、育休は育児の大変さを知ることや子供への愛着、家族の絆を深めることができる機会だと捉えられている(ⅱ)
それだけでなく、自身のこれからのキャリア形成を再考する機会にもなっていることがうかがえる(ⅱ)
ママから見ても、今後子供が生まれた場合にパパが育休を取ることに対して賛成の意見が大半を占める(ⅲ)
一方で、パパに育休を取ってほしくないという理由は、パパの仕事に対する配慮や”とるだけ育休”に対する懸念などが挙げられる(ⅲ)(ⅳ)

(ⅰ)育休経験パパによる次回以降の育休取得意向は9割以上。

(ⅱ)育休を取得して良かったこととして、「育児の大変さが分かった」、「子供への愛着が増した」と回答した割合が共に約9割と最も高く、「家族との理解や絆が深まった」が約8割と続く。

(ⅲ)パートナーが育休を取得したことのあるママも、7割は今後のパートナーの育休取得に賛成しているが、ネガティブな声も存在。一方、パートナーが育休を取得できなかったママの、男性育休に対する期待は相対的に高いことがうかがえる。

(ⅳ)「パパに育休を取得して欲しくない」というママの具体的理由として、「育休取得について理解を得られない場合に働きづらくなるため」、「育休を取得しても家事や育児の負担は変わらないため」の回答割合がいずれも約4割であり最も高い。「職場の同僚に迷惑をかける」、「育休復帰後の待遇が心配だった」が約3割と続く。

男性育休の普及に向けた意識

男性育休の普及に対してはパパもママも9割以上がポジティブ(ⅰ)
男性育休の普及に必要なことについてのママの問題意識(回答割合)は全体的にパパよりも高く、社会や職場といった外部環境における男性育休の理解促進に加え、金銭面の不安解消、パパ(配偶者)に対する啓蒙が必要という意識がある(ⅱ)

(ⅰ)男性育休の普及に対しては、パパ(育休経験者、育休未経験)、ママいずれも「ぜひ普及してほしい」の回答割合が約8割と最も高く、「普及して欲しい」を加えた割合はいずれも9割を超える。

(ⅱ)普及にあたっては、取りやすい雰囲気の醸成などを望むなど、おおむね同様の傾向がある一方で、ママに関しては、配偶者や家族に対する理解促進などの割合も相対的に高い。

男性育休と少子化対策について

パパ、ママ共に、男性育休が取りやすい世の中になることは、少子化にも好影響を与えると考えている(ⅰ)
パパ、ママ共に、育児に伴う金銭面の負担増、仕事と家事育児の両立が困難になっているという状況を問題だと感じている(ⅱ)
また、子供の数が多くなるほど、家の広さ、配偶者のサポート不足といったことが少子化に関する問題として顕在化してくる(ⅲ)(ⅳ)(ⅴ)

(ⅰ)「男性育休は少子化対策に寄与するか」という趣旨に対して「とてもそう思う」「そう思う」と回答した割合は、パパ・ママ共に6割を超える。

(ⅱ)少子化の原因に関して、パパ、ママ共に「育児に伴う金銭面の負担」の回答割合が約7~8割と最も高く、「出産・育児に伴う仕事上の不利益」、「保育サービス不足」の回答割合が約6~7割と続く。

(ⅲ)少子化の原因を子供数別にみると、パパ(育休経験)の場合は、子供が多くなるほど、「家の広さによって育てられる人数に限界があるため」の回答割合が高くなっている。

(ⅳ)少子化の原因を子供数別にみると、パパ(育休未経験)の場合は、子供が多くなるほど、「家の広さによって育てられる人数に限界があるため」の回答割合が高くなっている。

(ⅴ)少子化の原因を子供数別にみると、ママの場合は、「出産に伴う金銭面の負担」「育児に伴う金銭面の負担」「配偶者以外の家族の育児サポートが得られないため」に関して、子供数が多くなるほど、回答割合も高くなっており、特に「配偶者以外の家族の育児サポートが得られないため」については、子供が1人の場合と3人の場合とで、約30ポイントの差が生じている。

アンケート回答者属性

年代

パパ(育休経験)

パパ(育休未経験)

ママ

居住地域

パパ(育休経験)

パパ(育休未経験)

ママ

職業

パパ(育休経験)

パパ(育休未経験)

ママ

コメント

  1. […] […]

  2. […] 実際、育休取得者の体験として、育休経験者は社内で育休について相談を受ける機会が多く、1人の育休取得者が育休取得に関して周囲へ良い影響を与えることがある。また、アンケート結果(パパ育コミュ実施の男性育休アンケート)からも、育休取得における周囲の育休取得者の存在の重要性が分かってきている。 […]

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