今回は出産準備と出産立ち会いについてシカゴリラの体験記を記載します。
最近はコロナウイルスの影響もあり、出産の立ち会いも出産後の面会も制限されてしまっているようですが、出産の準備として何をすべきか、また、出産とはどのようなものなのかをイメージするのに役立てばと思い記事を執筆します。
出産立会とは父親が本当の意味で父親になる瞬間です。これから父親になる方は是非ご一読ください。
出産当日に向けた準備〜陣痛開始から分娩台まで〜
私は出産予定日の1週間前から有給休暇を利用して育休に入りましたが、気持ちがソワソワしていました。というのも、経産婦であることに加えて、切迫早産になりかかっており、いつ生まれてもおかしくない状況だったためです。
こんな時に男女で行動に差が出るものです。私の様子を尻目に、パートナーは出産準備をすっかりと整えてどっしりと構えています。そんなパートナーの姿を見て平静を取り戻し、父親なりに出産にむけた準備に取り掛かりました。
具体的には「陣痛開始」、「陣痛室」、「分娩室」を想定して準備をしました。
陣痛開始〜病院とマタニティタクシー〜
まずは、陣痛が始まったことを想定して、病院とタクシー会社の電話番号を携帯に入れました。病院についてはパートナーが連絡をすることになるかとは思いますが、不測の事態に備えて念のため自分の携帯にも控えておきました。次に、タクシーについてはマタニティタクシー(陣痛タクシー)というサービスを利用することにしました。マタニティタクシーは「陣痛時や入退院時等に利用することができるタクシーサービス」です。陣痛が始まった妊婦さんを乗せるのは運転手としても緊張するかもしれませんので、こういったサービスがあると助かります。
陣痛室〜水分と栄養補給〜
次は、病院についてから分娩台に登るまでの陣痛室で過ごすための準備です。出産は体力勝負ですから、陣痛室でも水分や栄養補給が大切です。我が家はちょっと高いチョコレートとカフェインレスのお茶を用意しました。また、陣痛間隔を測るのもパパの役目です。「陣痛きたかも」等の陣痛感覚を計測するアプリを入れておくと便利です。陣痛室は数時間にわたる長丁場になることもあるので、念のため音楽等を聴く時に翔するイヤホンを持っていくのもいいかもしれません。
分娩台〜ストローと団扇とタオル〜
最後に、分娩台の上に乗った時のための準備ですが、一世一代の大仕事ですから相当な体力を消耗すると共に汗をかきます。タオルで汗を拭うとともに団扇やセンスで扇いであげましょう。それに、水分補給は必須ですが、寝た状態ではペットボトルを飲めませんのでストローをさしてあげましょう。100均でもペットボトルにストローをさす道具が売っていますが、多少頑丈なものの方が安心かもしれません(Amazonで売っています)
こうした陣痛開始から出産までの状況を想定してしっかりと準備をしておけば、本番も概ね大丈夫です。不測の事態が起こることもありますが、決して焦らずに臨機応変に対応してください。不測の事態において対処に悩む時は、積極的に控えて置いた電話番号にダイヤルして医師や看護師といったプロに相談しましょう!
出産当日〜オキシトシン大爆発!〜
こうした準備の甲斐もあってか、私達の出産は概ね滞りなく進みました。ただ、しっかり準備したはずでも細かいミスは生じたりしますので、そういったところも反面教師になればと思い赤裸々に記載します。
陣痛開始〜電話が繋がらない〜
出産予定日が過ぎて数日経ったある日、夜中の2時過ぎにパートナーが陣痛の鈍い痛みに目を覚ましました。そして、3時頃に陣痛間隔が10分と短くなってきたので病院に電話しました。病院からは「できるだけ早く来院して下さい。」と言われました。
第一子の時には病院に電話をしても陣痛が収まる可能性もあるのでもう少し様子を見てくださいと言われてヤキモキしたのですが、今回は出産予定日を過ぎた経産婦であったためすぐに産まれる可能性があり来院OKとなったそうです。
そこで、私は事前に準備していた陣痛タクシーへの連絡をしようとしました。しかし、いざ使ってみるとアプリの設定が完了しておらず、しどろもどろ。結局パートナーが自分でタクシーを呼んでくれました。タクシーも呼べない旦那とは情けない限りです。
タクシーを待つ間に、幼稚園児の娘を近所に住んでいる祖母のところに預けに行きました。そして、タクシーとの到着とともに入院用の大きな荷物を持ってパートナーとタクシーに乗り込みました。陣痛タクシーと言うだけあり、運転手さんは慣れたものでゆっくり丁寧に病院まで運転をしてくれました。
陣痛室〜絶え間ない陣痛の波〜
病院に着くとパートナーは陣痛室に移動しました。私は必要な書類を記入した上で、少し遅れて陣痛室に入れてもらいました。分娩台が設置してある施術室の隣にあるベットが6台並ぶ部屋でした。出産を待つ女性のいきみや出産を終えた女性の寝息が聞こえる不思議な空間でした。
パートナーが横たわるベットの横の椅子に腰掛け、数分間隔で陣痛がくるたびに苦しそうにする妻の手を握りながら腰をさすると共に、陣痛の合間にはチョコや水を口に運ぶという動作を繰り返していました。もちろん、陣痛アプリのボタンをポチッと押して陣痛間隔を記録していました。
陣痛室に移ってしばらくすると陣痛間隔が5分になり、痛みが強くなってきました。パートナーも産まれそうな気配を感じるようで「もう産みたい。」と言っていましたが、子宮口がまだ十分に開ききっていないようで看護師からもう少し待つように言われました。看護師は冷静です。一般に、陣痛が始まってから出産するまでは初産婦で12〜15時間、経産婦で6〜7時間と言われています。病院についてからもしばらくは痛みに耐えながら待たないといけないのです。きっと、赤ちゃんにとっては安寧の地であるお腹から未知の世界に出てくる大冒険ですから、赤ちゃんも体や心の準備に時間がかかるのですよね。
出産〜初めての3人の共同作業〜
陣痛が始まって7時間、病院についてから3時間程経ってから分娩台の上にのぼることになりました。ここからは側に看護師がついていてくれるので心強いです。私は、パートナーの傍で手を握ったり、水分補給をしたり、腰を摩ったりしていました(陣痛間隔の測定はもう不要です)。
パートナーは一生懸命に下腹部に力を入れ、いきんでいました。その一回一回に全身の力を込めるので、額からは滝のような汗が出てきます。私も必死でその汗を拭ってあげたり団扇で扇いでいました。
パートナーは呼吸を整えながら、「フーーーー」と陣痛がくるたびに下腹部に力を入れていきみます。そうすると、赤ちゃんが子宮から少しずつ外の世界に出てきます。私も手を握りながら、パートナーがいきむタイミングで息を吐いて手にギュッと力を入れるため一緒にお産を経験している気持ちになりました。あんまり一生懸命に息を吐きすぎたためか過呼吸になりそうにすらなりました。パパが倒れては困ってしまいますね💦
パートナーのいきみのタイミングで一緒に体に力を入れていると、パートナーと私が力を込め、そして赤ちゃんが少しずつ降りてくるという3人の共同作業のように感じました。この時に、妻のお腹の中の胎児ではなく、1人の個人としての赤ちゃんを意識しました。「頑張れ、パートナー!頑張れ、赤ちゃん!」と心の中で応援していました。
途中で休憩を挟みながら、分娩台の上に登って2時間ほどで赤ちゃんが生まれました。3,700gの元気な男児でした。「無事に生まれて来てくれてありがとう!」と心の底から思いました。
出産後は、赤ちゃんのケアが終わった段階で看護師さんがパートナーのもとに生まれたてほやほやの赤ちゃんを連れて来てくれました。そして、パートナーはまだ湯気が立っていそうな赤ちゃんに愛おしそうに触れていました。私はその様子を写真に収めた後に「よく頑張ったね!ありがとう!」と妻にお礼を述べて分娩室を退室しました。胸にこみ上げるものがありました。
その際に、ドアが妻の足側にあったのですが、看護師が事務的な口調では「決して後ろを振り返らないでください。」と言いました。出産の立ち会いを通して私が見ていたのは妻の手や顔ですが、本当の出産が行われていたのは下腹部で、きっとそれは男の想像を絶する世界なのでしょう。私は決して後ろを振り返らずに前だけを見て部屋を出ました。
オキシトシン大爆発!〜出産の立会で深まる愛着〜
パパが出産に立ち会うとオキシトシンという物質が出るそうです。オキシトシンは育児、愛情、人への愛着などの社会的行動に関与する物質です。赤ちゃんが生まれた時の姿、泣き声、そして、赤ちゃんを始めて抱っこした時の感動がオキシトシンの放出につながるようです。
出産に立ち会うことで子供への愛情が深まることは科学的にも立証されているそうです。私も、出産の準備や出産の立ち会い、そして子供を手にはじめて抱くというプロセスを通じて子供への愛着が徐々に増していく感覚を覚えました。きっと、そうした過程において私の体の中ではオキシトシンの大爆発が起きていたに違いありません。
コロナ禍では様々な行動が制限されますが、出産も例外ではありません。
コロナ禍では出産立会ができないケースが多くあります。そんな中でも、人数を制限してパートナーだけは立会を許可したり、もしくは、LINEなどを利用したオンライン立会が可能な病院もあります。立会は男性がパパになるための貴重な経験ですので、お近くにそうした病院があれば探してみてください。ただ、母体が優先ですので通院しやすい最寄りの産院を選ぶことも大切だと思います。そんな時でも、きっと夫婦の心のホットラインは見えない糸でつながっていますか、パパのママを思う気持ちは伝わっているはずです。
最後に
今回の記事は出産準備と出産の立会について記載しました。
幸いなことに私は出産予定日の1週間前から有給休暇を取得したので余裕を持って出産準備ができました。そして、出産当日も(タクシーが呼べなかったと言う失敗はありましたが)大きな問題もなくパートナーが出産することができました。
出産への立ち会いは不思議な体験でした。陣痛室まではパートナーが無事に出産を終えられるようにサポートしようという気持ちでいたのですが、いざ分娩台に登ってみるとパートナーだけではなく、生まれてくる赤ちゃんの存在も意識するようになり3人で張っているような気持ちになってきました。
男性は女性に比べて赤ちゃんの存在を意識したり、愛着を抱くタイミングが遅いと言いますが、私は出産の立ち会いにおいて赤ちゃんを一人の人間として意識し、愛着を感じるようになりました。そして、無事に産まれて来てくれたことに感謝するとともに、大事に育てようという決意が芽生えました。その過程できっと私の脳内でオキシトシンが大爆発していたに違いありません。
出産に立ち会うことは、パパとしてのキャリアをスタートする上でとっても大切なことなのですね!
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